中国の巨大IT企業Tencent(テンセント)は、ユーザー情報の安全性への懸念から中国当局より指導を受け、現在同社が手がけるすべてのアプリのアップデート一時停止、および新規リリースの停止を命じられています。『CoD:モバイル』などの開発にも影響は及ぶのでしょうか。
テンセントのアプリに中国当局の規制
Tencent(テンセント)は時価総額で世界11位の規模を持つ中国の巨大IT企業ですが、中国政府は「一時的な事務運営指針」として、同社が手がけるすべての既存のアプリのアップデートの一時停止、および今後リリースを予定していたアプリのリリース一時停止を命じたことが、Chinastarmarketより報じられています。
中国語報道を元にしたSouth China Morning Postによると、これは中国工業情報化部から、国内のアプリストアおよびプラットフォーマーに対し、テンセントへの厳しい行政処分として11月24日より実施するよう指示されたもので、テンセント側も声明の中で、「当局によるアプリの検査に協力している」と報道内容を間接的に認めています。
ロイターによると、テンセントは新たなアプリとアップデートを公開前に全て、審査用に提出するよう求められているそうです。この措置は「一時的」としつつも、どのくらいの期間続くのか、さらに中国国内の競合他社にも波及していくのかは定かではありません。
テック企業の取り締まりがさらに強まる
テンセントはさらに、「当社は、アプリ内のユーザー保護機能の強化に継続的に取り組んでおり、また、規制遵守のために関連政府機関と定期的に協力しています。当社のアプリケーションは引き続き機能しており、ダウンロードが可能です」とも述べています。
中国ではユーザーデータを海外に送信する前に、セキュリティ評価を受けて承認を得ることが義務づけられており、さらに11月には、個人データのセキュリティに関して世界で最も厳しい規制を持つ個人情報保護法が制定されました。
今回のテンセントへの措置も、こうした個人情報の安全性に対する懸念に絡んでおり、一方では4月に起きたアリババグループに対する独占禁止法違反での巨額罰金、5月に起きたバイトダンスの上場計画凍結(延期)、7月に起きた配車サービス企業DiDiのアプリ停止措置など、2021年に急速に進んだ中国政府による巨大テック企業への取り締まり・監視強化の動きとの関連もうかがえます。
また、テンセントは7月にも、詳細不明の技術的アップグレードを理由に、12億人のユーザーを抱える「WeChat」への新規ユーザー登録を一時停止していました(現在は再開)。
影響は中国国内限定か
テンセントは「WeChat」をはじめ、現在も数十種類のアプリを運営しており、さらにモバイルゲーム事業を手がけるTencent Mobile Gamesからは、これまで100を越えるゲームがリリースされています。
テンセントの関わるゲームがアップデート停止措置を受けると、世界のゲーム産業にはどのような影響が及ぶのでしょうか。FPSに限って言えば、『CoD:モバイル』を開発するTiMi Studiosや、モバイルタイトルではありませんが『VALORANT』のライアットゲームズがテンセントの100%子会社として知られており、他にも『フォートナイト』や「Unreal Engine」を開発するEpic Gamesも、テンセントの40%子会社です。
こうした懸念について、市場調査企業Niko PartnersのアナリストDaniel Ahmad氏は、今回の一時停止措置が適応されるのは中国国内市場のみ、かつモバイルゲームのみであることをリプ欄で述べています。短期的には日本への影響はなさそうですが、テンセントとの何らかの関連のあるゲームをプレイしている方たちにとって、今回の一報は2022年以降のゲーミング環境に向けて、さらなる悪材料を警戒せざるを得ないものとなりました。
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Source: South China Morning Post
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