Ubisoftの『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』では、東京・ベルサール高田馬場にてオフライントーナメント「Rainbow Six Japan Invitational 2022(以下、RJI 2022)」を開催。EAA!!も現地に突撃し、白熱の大会を間近で取材しました。
RJI 2022がついに完結
「RJI 2022」は2022年の日本国内競技シーンのクライマックスとなる、有観客オフライントーナメント。11月5日と6日にかけて、東京・ベルサール高田馬場にてオフライン開催されました。
日本からは、国内リーグ「RJL 2022」に出場した10チームのうち、先日の国内予選トーナメントを勝ち上がったSCARZとCrest Gaming Lstが参戦。海外からはフランスのTeam BDSと韓国のDWG KIAを招待し、4チームによるダブルイリミネーショントーナメントで争われました。
2日に渡る激闘の結果、優勝はTeam BDS。日本チームCGLを倒し、韓国のDWGとは二度対戦してそれぞれ破り、終わってみると1マップも取らせない強さを見せつけて観客を沸かせていました。
国内チーム同士の熱戦をSCARZが制す
ロアブラケットでの生き残りを賭けたMATCH4は、SCARZ vs Crest Gaming Lst(CGL)によるBO1。舞台は「カフェ」が選ばれ、SCARZの防衛スタートとなりました。SCARZは今年のチャンピオンチームですが、対戦成績では今のところCGLが圧倒しており、この点を踏まえても注目の対決となりました。
1ラウンド目はSCARZのパーフェクトラウンドで好発進。しかしCGLもEclair選手がクラッチに成功するなど、2-2で拮抗します。
前半はPyon選手が1v2を制する活躍もあり、4-2でSCARZがリードし折り返し。CGL側のミスもあり、SCARZは再びのパーフェクトラウンドで2-6とマッチポイントを獲得します。
しかし後が無くなってからの粘り強さに定評のあるCGLも、リスキーな立ち回りで奮起し、どうにか5-6まで寄せましたが、最後は同じくリスクある飛び込みを見せたSCARZの作戦が奏功し、3階防衛の破壊に成功。最終スコア5-7で、SCARZがチャンピオンチームとしての威信を保ち、DWGとの再戦に臨むこととなりました。
試合後は、SCARZのPyon選手からお話を聞かせていただきました。
Pyon「CGLとは直近しばらく対戦していなかったので、むしろあまり対策をし切らないで、臨機応変しながら対応していきました。相手もオフラインならではの立ち回りをしてきて、いつものハードピークやスニークインが少なかったんです。それでも自分たちがやりたいエリア守りはできたので、防衛ではうまくいきました。
(攻撃に回ってからの展開については)これは自分たちの悪い癖なんですが、カフェに限ってはなぜかマッチポイントを迎えると逆転されるという風潮があるんです。CGLがたったの2ラウンドで対策して、Nomad(ノーマッド)のいないところからカウンターやハードピークをしかけてきたことで3ラウンドを取られたんですが、最後はこちらのリスクの取り方の方が大きかった。試合を取れて良かったと思います」
DWG、yassの大暴れでSCARZを再び粉砕
DAY1からの再戦となったDWG vs SCARZのMATCH5。第1マップは「銀行」で、DWGの攻撃からスタートしました。
SCARZは前回とはうって変わってDWGの動きに適応しており、0-3でリードしてDWGに早めのタイムアウトを取らせます。しかしDWGの修正もやはり適格で、すぐさま3-3と返して前半を終わらせることに成功します。
試合はそのままラウンドスコア5-5と拮抗した戦いになりますが、DWGは徐々に対応力を高めていきます。ガジェットのぶつけ合いの末に地下防衛を制し、先にマッチポイントを獲得すると、最後はyass選手の裏取りが成功するなどして、DWGは7-5で「銀行」での勝利を得ました。
第2マップはDWGピックの「オレゴン」。yass選手がまずガンファイトで解決し、DWGが先勝。さらにRIN選手も制限時間の最後の一瞬で勝敗を分けるキルを取るなど鮮やかなプレイを見せ、4-2でDWGがリードして折り返します。
追いつこうとするSCARZでしたが、意気込んだ直後に再び立ちはだかったyass選手がエースクラッチを決めます。DWGはその後も連取して、一気にマッチポイントを獲得。結局SCARZに攻撃を一切通させないまま、オレゴンでの試合は7-2で終了。DWGがRJIの最終戦に進出を決めました。
SCARZの敗退により、日本の2チームはそれぞれベスト3と4でRJIを終えることとなりました。日本が世界レベルのチームに挑戦するという面でも注目された今回のRJIでしたが、最終的に海外チームから1マップも取れない結果となりました。
一方で、こうした明白な敗北が得られたことは、(スクリム以外では)国内チーム同士で戦うことがほとんどである日本のチームとそのファンにとって、自分たちの現在位置を知ることができる、他にない機会だったと言えるでしょう。今後も海外チームを招いての新たなトーナメント開催に期待したいところです。
試合後のインタビューでは、DWGのRIN選手に「銀行」で最初3ラウンド連取された後の展開についてうかがうと、「(タイムアウトを取り)みんなで一度、相手がどこから入ってくるかを確認し合って対応していきました。こちらの変更に対して、SCARZがさらに変更してくるような動きが少なかったので、勝ち切ることができました」と語ってくれました。
エースを決めたyass選手に、チームとして今後さらに強化していきたい部分について尋ねると、「どうしてもエントリー勝負は1v1の撃ち合いになるので、そこでしっかり勝てるエイム力を身に着けたい」と答えてくれました。シージはタクティカルシューターではあるものの、理論上はしっかりとした戦術が、時として1人のガンスキルによって破壊される光景が、今大会でも何度か印象に残りました。
BDSの優勝が決定!
RJIの記念すべき最終戦は、BDS vs DWGのマッチアップとなりました。
第1マップ「銀行」では、BDSが3回連続でディフューザー設置を成功させ、同時にガンファイトも制しつつ一気に3-0とリードします。DWGがタイムアウトを挟む光景はつい先程の試合と同じでしたが、ここからは全く異なる展開となりました。
6ラウンド目でBDSは、ガレージ侵攻でヘイトを集めている間にShaiiko選手のスニークインを刺すなどして、鮮やかな攻撃で5-1の大量リードで攻防交代します。さらに次の防衛も成功させ、6-1でマッチポイントを獲得。DWGも1ラウンドを返しましたが、スコア差はあまりにも大きく、BDSが7-2の大差で「銀行」での戦いを制しました。
第2マップはBDSピックの「高層ビル」。やはりまずはBDSから攻撃で2ラウンドを連取し、LikEfac選手のNook(ヌック)を使ったスニークなどが脅威となりましたが、ここではDWGもBDSの攻撃に対応し、2-3と逆転に成功します。
BDSもすぐに3-3と追いついて攻防交代。その後も4-4と拮抗します。BDSはElemzje選手によるAzami(アザミ)の小技や、Renshiro選手の驚異的な粘り勝ちなど、選手個々のスキルの高さを際立たせます。DWGにタイムアウトを取らせた直後は、さらにBriD選手も一人でDWGの挟み込みを撃退する活躍をし、6-4でマッチポイントを獲得します。
DWGも、技術トラブルがあった中でcoted選手が大量キルの活躍。Woogiman選手もMontagne(モンターニュ)のハンドガンでクラッチを決め、6-5と粘ります。しかし最後はPJH選手との1v1をRenshiro選手が制し、7-5で試合終了。この瞬間、マップスコア2-0でTeam BDSのチャンピオンが決定しました
海外チームを招待して行われた「RJI 2022」。年度のクライマックスが有観客オフライン環境で実現し、選手とファン、誰にとっても日本競技シーンの一年をしめくくる思い出深いイベントとなりました。
日本チームは惜しくも栄冠には手が届きませんでしたが、この後ヨンショーピング・メジャーにも出場するBDSの戦いを見て、彼らからさらに学びを得たいところです。日本で素場らしい戦いを見せてくれたBDSの皆さん、RJI優勝おめでとうございます!
年末年始も大注目のシージ競技シーン
「RJI 2022」の完結をもって、日本国内競技シーンにおける今年の公式戦はほぼ終了となります。この後11月19日からは、入れ替え戦が開催予定です。こちらは来年のRJLに出場するチームを決める重要な大会となるため、レギュラーシーズンに劣らず見逃せないものとなるでしょう。
一方、世界全体のシージ競技シーンはこれからいよいよヤマ場を迎えます。11月21日からは、スウェーデンにて世界大会「シックス・ヨンショーピング・メジャー」が開催。日本からはCYCLOPS athlete gamingがアジア代表チームの一つとして出場し、世界の16チームでチャンピオンの座を競います。
さらにメジャー終了後は、カナダ・モントリオールにて2023年2月に開催されるシージ界最大の世界大会「シックスインビテーショナル2023」に向けた、各地域での予選が順次スタートします。この予選には既にSCARZがインタビューなどを通して出場の意志を明かしていますが、他の日本チームも多数参戦するでしょう。
インビテーショナル予選と言えば、Crest Gaming Lstの当時のロースターがかつてオープン予選を制したことで、その後の彼らのシージプレイヤーとしてのキャリアが大きく変わるきっかけとなりました。今回の予選では、果たしてどんなドラマが生まれるのでしょうか。これから年末年末にかけても、引き続きシージの競技シーンに大注目です。
TESTをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。
コメント
コメント一覧 (1件)
勝てたラウンドの勝因をちゃんと分析して次に活かしてほしいなと思う大会だった
同じAPACながら世界で活躍できるチームとの違いを学んでくれたら嬉しいんだけど
Tier1大会前だから隠すのはそりゃそうだけど、それでも戦術隠してるよ😃と公言された上にシンプル基礎力で負けた意味をちゃんと日本チームには考えてほしいね