2022年4月12日より、Blizzard Entertainmentの『Overwatch 2(オーバーウォッチ2 )』では、シーズン4が開幕します。シーズン4では新たなサポートヒーローとして「ライフウィーバー」が発表されていますが、今回メディア向け先行プレイに参加させていただく機会がありましたので、そこで判明した「ライフウィーバー」の基本性能を詳細に解説します。
※以下で紹介している内容は、今回先行プレイ用に用意されたテスト環境で計測、撮影したものとなっています。ライブ環境への実装時には異なる性能となる可能性があることをご留意ください。
新規サポートヒーロー「ライフウィーバー」
体力 | 200 |
ロール | サポート |
ロール・パッシブ | 1.5秒被ダメージなしで15/秒回復 |
「ライフウィーバー」アビリティ解説
散華の形見(固有パッシブ)
回復量(味方) | 250 |
回復量(敵) | 75 |
持続時間 | 約12秒 |
ライフウィーバー固有のパッシブ・アビリティは、デス時に起動する“散華の形見”。自身がデスした地点に蓮の花が出現し、取得したヒーローを回復します。
回復時の挙動はマップ内に点在するライフ・パックと基本的に同じで、体力がフルの状態では取得できず、1ダメージでも受けていれば接触時に自動的に取得します。回復量は取得したヒーローの陣営によって変動し、味方が拾った場合はライフ・パック大と同値(250)、敵が拾った場合はライフ・パック小と同値(75)になります。
味方が取得した場合には、即時250回復と優れた性能を持ってはいますが、当然ライフウィーバー自身が生存していた方が各方面でのアドバンテージが大きいため、あくまでデスしてしまった場合の最低保証という認識でいましょう。
また、アッシュやウィドウメイカーといった狙撃タイプのヒーローに倒された場面では味方の取得に期待できますが、トレーサーやゲンジといったフランカータイプのヒーローに倒されてしまうと、75とは言え撤退及び継戦の手助けになってしまいやすい点には注意が必要です。
ヒーリング・ブロッサム(メイン回復)
マガジンサイズ | 12 |
回復量 | 10 ~ 65 |
射程距離 | 30m |
チャージ時間 | (フルチャージまで)1秒 |
リロード時間 | 1.75秒 |
補足 | チャージ中は移動速度が25%低下 |
ライフウィーバーのメイン回復手段。射撃キーを長押しすることでチャージを行い、チャージ量に応じた回復を味方に付与します。挙動としてはキリコの“快気の御札”に近く、ざっくりと対象を指定した状態でキーを離すと対象を追尾します。
キリコの“快気の御札”と比較
その他性能を“快気の御札”と比較した場合、回復動作1回あたりの最大回復量(13×2×5)、射程距離は劣ってしまうものの、比較的早い弾速や単発回復である点で十分に差別化が可能。キーをリリースした直後にマップ上の障害物に隠れてしまっても、しっかりと回復を届けることができる点も優秀です。
また、対象指定範囲(感度)という面でも勝っており、約4倍の範囲内を対象に指定することができます。前方のヒーローを対象に取れているかどうかは、キリコの“神出鬼没”のガイドを利用した“快気の御札”投てきと同じく、同じ指定範囲の広さを持つ後述の“ライフグリップ”用ガイドを利用する事で確認できます。この対象指定範囲の感度については、オプションから変更することもできます。
投射物自体は、弾速持ち(プロジェクタイル)の一般的な弾丸判定であるため、“木の葉返し”(反射系)、“ディフェンス・マトリックス”(吸収系)、“バリア・フィールド”(バリア系)等による妨害を受けてしまいます。
ライフウィーバーの射撃は、この“ヒーリング・ブロッサム”(回復)と“ソーン・ボレー”(攻撃)の切り替え式となっており、“ソーン・ボレー”に切り替えて一定時間(控え武器のリロード時間分)が経過すると“ヒーリング・ブロッサム”が自動的にリロードされます。
ソーン・ボレー
マガジンサイズ | 60 |
ダメージ(1ショット) | 5 × 2 |
ヘッドショット倍率 | 2 |
射撃レート | 約20/秒 |
リロード速度 | 1.5秒 |
前方に距離減衰の無い射撃を行う、シンプルな攻撃アビリティ。絵面的に最も近い既存アビリティは、ラマットラの“ヴォイド・アクセラレーター”で、密度の高い攻撃が可能となっています。しかし、その射撃精度については大幅に劣っており、レティクルの中心に射撃するのは初弾ですら困難です。
距離減衰なしの高レートショットガン
散り方は分割して射撃を行うショットガンのイメージ。こちらも弾速持ち(プロジェクタイル)の一般的な弾丸判定なので、反射系、吸収系、バリア系等による妨害を受けます。
先に悪い点を多く並べましたが、距離減衰がなく射撃レートが非常に高いため、遠距離であってもバリア削りやけん制、逃げる相手の削り切りとしてはなかなかの性能。近~中距離の場合はヘッドショットを狙うことで、高いダメージ出力に期待できます。
こちらも“ヒーリング・ブロッサム”と同様、対になっている武器を一定時間構えていると自動的にリロードされます。
若返りの風
回復量 | 25 |
移動距離 | 約6m |
クールタイム | 5秒 |
進行方向に向かって約6mの移動と25の自己回復を同時に行う、移動兼自己回復アビリティ。同じ使用感のアビリティとしては、ハンゾーの“体術”が挙げられます。移動距離は、6m前後とそれほど長くありませんが“ペタル・プラットフォーム”との併用により、数値以上の機動力を見せてくれます。
サポートヒーローの僅かな機動力の差がチーム全体の運命を左右することは少なくなく、ロール・パッシブまでの繋ぎとして25の回復効果が付いているのも嬉しいポイント。このアビリティでは味方を回復することはできず、クールタイムも5秒と短いので自己判断で頻繁に使用していけます。
チャージしながら移動可
“ヒーリング・ブロッサム”で高い出力の回復を行うには、チャージが必要となりますが“ライフグリップ”や“若返りの風”(“ペタル・プラットフォーム”はオプション設定次第)の使用は、“ヒーリング・ブロッサム”のチャージを維持したまま行うことが可能。味方を引き寄せたり、味方のもとに駆け付けた直後に事前に作ったチャージで回復といった動きができます。
(「オプション」>「操作設定」>「ヒーロー変更」>「ライフウィーバー」)
ペタル・プラットフォーム
最大高度 | 8~9m |
耐久値 | 400 |
効果時間 | 起動前:∞ 起動後:約10秒 |
クールタイム | 投てき後12秒 |
おそらくライフウィーバーを使用するうえで最も重要視され、発想力が試されるアビリティがこの“ペタル・プラットフォーム”となるでしょう。
自前エレベーター
アビリティキーを入力すると種を投てきし、接地地点に花形のリフトを展開。ヒーローが上に乗る事を起動条件として、一定の高さまで上昇、その後約9秒間滞空状態を維持します。加えて、タイミングは少しシビアですが、リフトが滞空位置に到達した瞬間にジャンプすると高く飛び上がることができます。
リフトの挙動は「HOLLYWOOD」や「MIDTOWN」などに見られるエレベーターから降下機能をなくしたもの。マップの形状を無視した狙撃ポジションや仮設安置の生成、上下分かれての挟撃など発想次第で多岐にわたる活躍を見せてくれます。
自己破壊可能
敵が乗った場合でも上昇してしまうため、展開によっては相手に起動されてしまう場面もありますが、使い方によっては敵を分断することができるという事でもあります。敵を持ち上げたことが許容できないレベルで不利に働いてしまった場合は、“タレット設置”や“テレポーター”のように対応キーの入力で破壊可能。
敵アルティメットを回避
ヒーローの足元に投げれば即時展開、上昇していくので、マップの形状によっては“クリオフリーズ”中のメイのような干渉が難しいヒーローをポイントの高さ判定外に追いやることもできます。
耐久値は400とそこそこの強度を有しており、ラマットラの“パメル”やモイラの“コアレッセンス”など一部例外を除き、敵味方の射撃を通しません(敵の攻撃のみ耐久値に影響)。もちろん“自爆”や“デッド・アイ”といったアルティメット・アビリティであっても、ダメージ源との射線を切ることができれば身を守ることができます。
さらに、高度を生かしたUlt避けとして半径6m(球状判定)の“グラビトン・サージ”に吸い込まれたとき(ヒーローが若干浮くので起動難度は上がります)に脱出したり、半径10m(球状判定)の“ブリザード”も中心から少しずらした位置でリフトを展開することで凍結を回避可能、オリーサの“テラ・サージ”はオリーサ側を持ち上げることで回避することができます。
クールタイムは投てき後
クールタイムの消化は投てき後にスタートされ、効果時間の消費は上昇後にスタートするため、2つのリフト起動間隔は12秒よりも短くすることが可能です。実践的には、撤退用リフトを後方に配置しておき、次のポジション取りに2つ目を使うといった動きになるでしょうか。この時、2つ目の投てき物が接地した時点で、1つ目のリフトは消滅します。
また、“ペタル・プラットフォーム”自体がソンブラの“ハック”“EMP”対象であり、起動前のリフトをハックされた場合は上昇機能を失い(効果終了で機能復活)、起動後のリフトをハックされた場合は墜落して壊れてしまう点にも注意が必要です。
ライフグリップ
射程距離 | 30m |
クールタイム | 20秒 |
“ペタル・プラットフォーム”がライフウィーバーの発想力を試すアビリティであるならば、こちらの“ライフグリップ”は判断力が試されるアビリティと言えます。
引き寄せ&無敵のバリア
性能自体は「味方を自身の近くに引き寄せる」とシンプルながらおもしろい性能をしており、引き寄せられている味方は、耐久値無限の“バリア・ショット”に包まれているような状態になります。もちろん、射線と射程距離が適正であれば、環境キルされそうな味方も救出可能。
引き寄せる際にも被弾判定(ダメージは無し)は維持されるため、動線上の“マイン・フィールド”除去やライフウィーバー自身を守るためのバリアとして味方を利用することもできます。
拘束系にも有効
さらに“ライフグリップ”は、今作から“レイス・フォーム”等の無敵系アビリティで抜け出せなくなった“グラビトン・サージ”や“グラビティ・フラックス”などの拘束系に対しても有効です。ただし、それら無敵系アビリティや“鈴のご加護”が持つデバフ解除の効果はありません。
引き寄せはバリアアビリティを貫通して行うことができるため、射撃系のサポートヒーローをプレイしたことのある方なら一度は経験したことのあるであろう「回復要請はわかるけれど、バリアの中から出てくれ」という状況や「後衛に火力が集中しているのに、味方がカバーに来てくれない」といった状況を自己判断で解消することができます。
使い所のセンスが試される
また、射線が通らず射撃を行っていない“B.O.B”の再利用や“バレッジ”中のファラ、射撃タイミングを逃してしまった“デッド・アイ”など機動力の低下や動作のワンパターン化が弱点であるアルティメット・アビリティとの組み合わせも良好です。もちろん、引き寄せ中は被弾しないので“スリープ・ダーツ”等による強制終了の危険性も低下します。
非常に強力なアビリティである反面クールタイムが長いため、使い所の見極めが難しく、リスクを承知で切り込んだ“龍撃剣”の邪魔になってしまったり、“アース・シャター”をズラしてしまうといったことがないよう注意が必要です。
トロールは難しい?
味方を引っ張って環境キルを行うトロールプレイを懸念するプレイヤーも多いでしょうが(参考記事)、“ライフグリップ”で引き寄せた味方の着地点は安全な位置になるよう調整されるため、ごく一部の状況を除いて意図的に味方を環境キルすることはできなくなっています。加えて、自身の環境デスが確定している場面(道連れ狙い)では、アビリティの使用自体が不可能になります。これは嬉しい仕様ではないでしょうか。
命の樹(アルティメット・アビリティ)
回復量(発動時) | 150 |
回復量(発動中) | 50 × 8回 (1回/約1.5秒) |
耐久値 | 1000 |
設置可能範囲 | 半径30m |
回復効果範囲 | 半径12m |
効果時間 | 最長15秒 |
ライフウィーバーのアルティメット・アビリティは、マップ上に巨大な樹木を生成する“命の樹”。樹木は生成された時点で範囲内の味方に150の回復を付与し、その後は約1.5秒ごとに8回50の回復を付与します。樹木には耐久値が設定されており、効果時間中(8回の回復効果発生前)であっても敵の攻撃によって破壊されてしまいます。
回復性能については、展開時の150以外は50と控えめで付与間隔もそれなりに長いため、“心頭滅却”や“サウンド・バリア”のようにライフ面で補助するカウンター運用には不向きとなっています。それらに比べ優れる点として、回復効果がマップ以外のオブジェクト(バリアアビリティや“アイスウォール”等)による遮断を受けない点が挙げられます。
回復できる壁(隙間あり)
加えて、回復以外の性質として持つ、接触判定のあるオブジェクトを生成する(メイの“アイス・ウォール”などと同じ)という側面が評価できます。咄嗟の射線切りや、動線切り用オブジェクトに回復効果が付いていると考えるとなかなかに優秀な性能と言えます。耐久値自体も1000と高く、ラマットラの“ヴォイド・バリア”と同値です。
ただし、“命の樹”は攻撃を通さない巨大なオブジェクトではありますが、ビジュアル通りの隙間が存在。攻撃時も防衛時も隙間を意識しておきましょう。
空中に浮かせることも可能
また、前述の“ペタル・プラットフォーム”に乗せて運用することも可能で、球状の効果範囲をより活用することができます。この運用方法の場合、遮蔽物としての価値は薄まってしまうものの、上空の“命の樹”と地上の敵でヘイトの分散を狙うことができます。さらに、敵の位置や展開によっては“ペタル・プラットフォーム”が“命の樹”を守る役割を果たしたり、“命の樹”と合わせて味方を上げれば回復を供給しつつ射線を増やせるといった恩恵にも期待できます。
“命の樹”はソンブラの“ハック”は対象外ですが、アルティメット“EMP”の影響は受けてしまいます。EMPの影響を受けた時点で即消滅となります。
「ライフウィーバー」先行アクセス総評
ライフウィーバーは、既存サポートヒーローが持つ回復と攻撃力のバランス体系から少し外れた位置に存在するヒーローといった印象であり、その両方はハッキリと言ってしまうと低水準。しかし、それを補って余りある「射線の増減によるヘイト管理、分散」性能を持っており、今までにないサポートヒーローとして活躍してくれそうです。
“ペタル・プラットフォーム”と“ライフグリップ”は、シンプル故に非常に応用の効くアビリティとなっており、プレイヤーの数だけ使い方があると言っても過言ではありません。それに“命の樹”を加えた、3つのアビリティは遮蔽物としての側面も有しており、仕掛けるだけでなく大きな動きに対する受け性能も優秀です。
ヒーラーだけではなくサポートを意識
弱点としては、複数の味方を同時に回復する手段がアルティメット・アビリティのみであり、単体回復にはチャージ動作が必要、かつフルチャージでも65回復と、回復量、テンポ共に多くの他サポートヒーローよりも劣っている点が挙げられます。加えて、基本的な自己回復手段も25回復の“若返りの風”とロール・パッシブのみという点もつらい所。
それらの欠点をカバーするには、ある程度チームが広がる構成に組み込む、ヘイトの分散という形で回復力不足をフォローする、“ヒーリング・ブロッサム”と“ソーン・ボレー”の自動リロードの活用、他アビリティを駆使して被弾を避ける、ライフ・パック or 相方サポートの位置を意識しながら動くなど、メイン射撃の扱いやすさによって生まれる余裕を立ち回りの思考リソースとして利用する事が重要となります。
プレイヤースキルが試される
また、先にも述べた通り“ライフグリップ”や“ペタル・プラットフォーム”、時には“生命の樹”のオブジェクトまでもが味方の邪魔に、敵に対して有利に働いてしまう場面があるという点も気にする必要があります。お互いがどれだけ注意していても野良でプレイしている場合には、誤った判断をしてしまう場面は発生してしまうかと思いますが、だからと言って何も考えずにプレイ(もしくは使用を躊躇)していては、ライフウィーバーの魅力が半減してしまいます。
と、これらだけを見るとライフウィーバーは難易度が高く、安定性に欠けるヒーローに見えるかもしれませんが、繰り返し述べている通り“ペタル・プラットフォーム”と“ライフグリップ”は、チーム全体の立ち回り幅を大きく広げる性能を持っています。所属しているロールがヒーラーではなく、サポートであるという事を再認識させてくれる性能と言えますね。
今後、ライフウィーバーの短所を埋められる、長所を伸ばせる好相性ヒーローの発見やマップ研究が進むにつれて、より魅力的なヒーローに仕上がっていくのは間違いないでしょう。
ライフウィーバーは『Overwatch 2(オーバーウォッチ2)』シーズン4にて登場。もうまもなくプレイ可能となります。
- タイトル:Overwatch 2(オーバーウォッチ2 )
- 発売日:2022年10月5日
- 対象機種:PC / Xbox Series X|S, Xbox One / PS5, PS4 / Nintendo Switch
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コメント
コメント一覧 (1件)
いくら「無敵」とか「落ちないようになってる」とか言われても、そもそも「引っ張られる事」そのものがストレスの塊なんだよなぁ