本日2021年4月16日、Blizzard Entertainmentは『Overwatch(オーバーウォッチ)』のライブサーバーにて、テスト環境「エクスペリメンタル」を実施しました。今回の調整はヒーローのバランス調整となっており、オーバーウォッチリーグ エクスペリメンタルカードトーナメント用の調整や、エイプリルフール用の調整を一部改変したものもテストされています。
ヒーローのバランス調整(エクスペリメンタル)
今回のエクスペリメンタルは、2/2/2のロールキュールールでプレイ可能。エクスペリメンタルでの変更点は本モード限定で、クイック・プレイ、ライバル・プレイ、アーケードへの影響はありません。
バティスト(バランス調整)
- “バイオティック・ランチャー”(サブ射撃)
- 爆発による範囲ヒール量を60から50に減少
- 直撃時に20の追加回復が発生するよう変更
- “イモータリティ・フィールド”
- チームメイトのライフを守る閾値を20%から10%に低下
本調整は、エクスペリメンタルカードトーナメント用の調整を一部改変した内容となっています。“バイオティック・ランチャー”の調整は、単体ヒール性能のみ向上(直撃時対象に70の回復)、合計回復値は対象2名で五分(1直撃、1爆発)、3名以上で弱体化となります。
飛んでいるファラやゲンジなどを回復する場面では強化点が活きる可能性もありますが、バティストが活躍しやすい試合展開はやはり最低限まとまって動く編成であるため、“バイオティック・ランチャー”へのバランス調整はバティストの総合的な回復性能の低下やUlt“アンプリフィケーション・マトリックス”の回転率に影響する可能性が高いです。
“イモータリティ・フィールド”は、保証値が低下しています。具体的には、200族の保証値は20から10に減少し、500族は100から50に減少します。元々高い保証値ではありませんが“バイオティック・ランチャー”の調整も相まって、回復が間に合わない場面が増えるかもしれません。
D.Va(強化)
- “メック召喚”
- 召喚時に発生する範囲ダメージを50から250に増加
エイプリルフール調整がエクスペリメンタルにてまさかの実装。流石にエイプリルフール時の仕様である600ダメージとは行かないながらも250と油断できない数値に。セオリーとも言える本体残しのプレイングに変化が見られるのでしょうか。
エコー(弱体化)
- “コピー”
- 効果終了時の体力を効果発動時の体力、又は100のどちらか高い方となるよう変更
こちらもバティストと同様、エクスペリメンタルカードトーナメントでの調整を元にした調整。必ず200まで全快していた“コピー”終了時の体力が、最少で100、発動時の体力が101以上であればその値になるよう変更されました。
この調整により、まずはエコー状態で第1ラウンド、“コピー”状態で第2ラウンド、エコーに戻って第3ラウンドというパワープレイが難しくなります。
モイラ(強化)
- “バイオティック・オーブ”
- クールタイムを10秒から8秒に短縮
クールタイム短縮の純粋強化。“バイオティック・オーブ”の回復性能は最大300、ダメージ性能は最大200と数値上の性能は優秀であるものの、マップの形状に左右されやすい欠点がありました。その点をクールタイム短縮による回転率の向上で補う事が可能になります。
また、“バイオティック・オーブ”は相手のバリアアビリティ(ザリアを除く)に干渉される事がなく、オーブの回転率向上に伴い、同じく回転率向上に期待できる“コアレッセンス”も同様の特徴を持つため、敵バリアに強いサポートヒーローとしての活躍に期待です。
オリーサ(強化)
- “ストップ!”
- クールタイムを8秒から6秒に短縮
こちらも同様クールタイム短縮の純粋強化。オリーサ最大の魅力の一つである“ストップ!”は2盾構成の流行後、スフィアの弾速以外が軒並み弱体化され続けており、久しぶりの強化調整となります。
単体性能こそ全盛期に劣っていますが、用途バリエーションに富んだアビリティである“ストップ!”の強化は、チームの潤滑油役であるオリーサにとって嬉しい調整ですね。
ラインハルト(弱体化)
- 体力
- アーマー値を250から200に減少(合計体力は550から500に減少)
2020年12月の強化調整から一部を元に戻す調整です。ライバル、クイック、レート帯を問わず高いピック率をキープし続けていたため仕方のない調整と言えますが、通常体力への変換ではなく純粋減少はかなりの痛手です。
ロードホッグ(強化)
- “スクラップ・ガン”(メイン、サブ共通)
- 弾丸1発あたりのダメージ量を6から6.6に増加
この強化調整により1ショットあたりのダメージ量は150から165に増加(全弾ヘッドショットで330ダメージ)。“チェイン・フック”連携での取りこぼし減少はもちろん、サブ射撃も強化されているのでシールドへのプレッシャー増加など、立ち回りでのダメージディールにも期待できます。
“スクラップ・ガン”の火力が高いロードホッグと言えば、オーバーウォッチリーグの2020シーズン終盤を思い出させますが、当時の弾丸1発あたりのダメージは7だったのでそれに比べれば幾分か大人しい性能となっています。
ソンブラ(強化)
- “ステルス”
- アビリティの使用、解除動作時間を0.75秒から0.45秒に短縮
- アビリティ使用中の移動速度ボーナスを50%から60%に増加
“ステルス”の使用感が向上し、より神出鬼没な立ち回りに磨きがかかります。“ステルス”明けの硬直減少は立ち回りでの出現→射撃がスムーズになる他、“ステルス”を絡めた“EMP”のシャットダウン率の低下にも繋がります。
また、機動力も向上しているため“トランズロケーター”を使用した移動サイクルや、戦線復帰の効率化にも繋がります。
今回の調整傾向と現環境
エクスペリメンタルカードトーナメントやエイプリルフールに合わせた調整はあったものの、実装を見据えたエクスペリメンタル調整はおよそ一ヶ月ぶりとなります。今回の調整傾向としては、今まで通りライバル・プレイ上位帯でのピック率準拠の調整が多数、一部上記のイベント用調整で感触の良かったものを実践的に調整しテストといった感じに。
昨今のライバル・プレイ上位帯でのピック率上位ヒーローは、イベント用調整続きということもあり大きな変化はありません。各ロールのピック率上位2ヒーローは、ラインハルト/ザリア/マクリー/トレーサー/バティスト/ルシオ/となっています。
タンクヒーローについては、相変わらずハルザリ構成が高いピック率をキープしていますが、コンテンダーズ等競技シーンでは、ダイブ構成やシグマ+レッキン・ボール構成など様々なタンクヒーローの活躍が見られ、ライバル・プレイ環境でも徐々にその傾向が現れてきています。中でもピック率を大きく伸ばしているヒーローがD.Vaであり、タンク内ピック率第3位、ザリアのピック率の1/2程度まで上昇しています。
ダメージヒーローは、相変わらずマクリー一強状態、相方に関してもトレーサー、ハンゾーと大きな変化はありません。ただし、ピック率次点にはドゥームフィストとジャンクラットが控えており、それぞれトレーサーの単騎性能枠と、ハンゾーのダメージディール枠を狙う存在に。天敵とも言える長距離を得意とするヒーロー(ファラやアッシュ、ウィドウメイカーなど)のピック率が低い事も追い風となっています。
サポートヒーローは、最も動きの少ないロールとなっており、バティスト&ルシオが圧倒的ワンツーを維持。次点でアナ、マーシーと続いています。しかし同時に、今回の調整がそのまま実装された場合、強化点こそあるものの総合的には弱体化と言えるバティストの立場が危うくなるのはもちろん、直接強化を受けたモイラや、タンク環境の変化によって“心頭滅却”の回転率が大きく左右されるゼニヤッタなど、最も今後の動きに注意が必要なロールとなっています。
D.Vaはコンテンダーズの開催により露出機会が増え、ライバル・プレイ環境でもピック率も増加、現在注目の集まるヒーローの一人。主にザリアの枠、ラインハルトと合わせて選出される事が多いです。
防御面では、“ディフェンス・マトリックス”が“アンプリフィケーション・マトリックス”対応の射撃全てに対応しており、一時的な撤退を容易にします。“グラビトン・サージ”との併用に対しては、“グラビトン・サージ”の効果時間が4秒であるため、“ディフェンス・マトリックス”の最長展開時間2秒で受け切ることはできませんが、ラインハルトの“バリア・フィールド”と合わせ高い防御性能を発揮します。
もちろん、“ディフェンス・マトリックス”によって“グラビトン・サージ”そのものを吸収、無力化する事も可能であり、成功すれば大きなアドバンテージを得る事ができます。
攻撃面においては、高い機動力を活かした削り切りが優秀であり“自爆”による一発もあります。特に“アース・シャター”と“自爆”を合わせた連携は、受け手の対応が難しく強力。さらに“ディフェンス・マトリックス”を展開することで、敵バティストの“バイオティック・ランチャー”による回復を遮断する動きも可能であり、敵の“ファイア・ストライク”を消して“アースシャター”の回転率で差を付けるなどラインハルトミラーなどで活躍します。
また、D.Vaが加わる事でハルザリ構成が苦手とする縦の動きが最低限確保されます。特に、必ず居ると言っても過言ではないマクリーに対しポジション選択の幅を強引に狭められる点が攻守ともに非常に優秀であり、“フラッシュ・バン”を受けた味方をカバーできる点も強みです。
現在のハルザリ+ルシオ構成の理想的な動きは、浮いたポジションの敵を素早く叩き人数有利を作るラッシュ的な動きであるため、マップ次第ではあるものの物理的な分断が可能なメイも合わせて選出される場面があります。
ラインハルトが最前線の場合“アイス・ウォール”で分断された際、かなり危険な状況となりますが“ブースター”を持つD.Vaであれば逃げられる場面も多く、万が一味方が分断された場合のフォローも可能。また“”グラビトン・サージと同じく、各チェックポイントでの決定打になり得るメイのUlt“ブリザード”に対しても接地前であれば吸収可能と、一見すると“ディフェンス・マトリックス”非対応のビーム系ヒーローに弱く見えるD.Vaですがサポート面では優れた性能を発揮します。
等々、優秀な面の多いD.Vaですが、ライバル・プレイでのピック率がザリアに劣る理由の一つはやはり連携の難しさ。現在のライバル・プレイはGM以上になると3人以上のパーティーで参加することができず、コンテンダーズのようなフルパーティー並の連携を見せるのは困難です。そういった環境下では、事前のやり取り無く戦況にメリハリをつけやすい、ハルザリ構成のUltサイクルはやはり頭一つ抜けた魅力となります。
まもなくオーバーウォッチ競技シーンの頂点であるオーバーウォッチリーグも開幕します。今回の調整を含め、様々なタンクの活躍に期待できる次期環境がどのようになるのか楽しみですね。また、オーバーウォッチリーグ開幕後は、バランス調整に少なからずリーグでのピック率が再び影響し始めます。そういった意味でもリーグの開幕環境は要注目です。
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Source:Overwatch
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コメント
コメント一覧 (5件)
ピック率的にラインハルトのナーフは仕方ないよね
アーマー値が増えてから無茶苦茶なブンブンができるようになった分、立ち回りが雑になったのが自分でもよくわかる
ただハルザリ対決はOWの一番好きな要素なので、ちょっと寂しいな
これからは大人しくウホウホします
いつもメタ解説ありがとう
総じて妥当な弱体と面白い調整かな、モイラはこのままultコスト調整されなかったら当たり合いで切っ掛け作りやすいかもね、ソンブラの動作解除強化はかなり強そう
オリ豚強化するならハルトの体力下げる必要無いんじゃ
頭わるわる調整やめて〜