Ubisoftが手がける基本プレイ無料のファーストパーソン・アリーナシューター『XDefiant(エックスディファイアント)』では、4月26日までクローズドベータが実施されました。EAA!!でもこのベータに参加し、ハイペースに展開するこの新作シューターの体験についてレポートしていきます。
アリーナシューター『エックスディファイアント』とは
※以下の情報はすべてクローズドベータテスト時点のものです(PC版・キーボード&マウス)
Ubisoftのオンライン対戦型ゲームと言えば、タクティカルシューターの『レインボーシックス シージ』が有名ですが、『エックスディファイアント』はアリーナシューターです。両チームのプレイヤーがゲームモードごとに設定された目標をめぐって走り回る、ハイペースでシンプルなガンファイトが楽しめます。
エックスディファイアント:ゲーム概要
1チームの構成は、カジュアルでは6人、ランクマッチは4人。各プレイヤーは自分の「勢力(固有のアビリティセット)」と、「ロードアウト(武器と投げもの)」を自由に組み合わせて出撃します。勢力アビリティはプレイヤー間の重複が可能で、役割分担のような要素はないため、縛りとなる要素がなく自由にプレイできます。
エックスディファイアント:ゲームモード
ベータ時点でプレイできたゲームモードは5つで、どれも目標志向型となっています。
- エスコート:アタッカーとして引き渡し地点までペイロードを護衛するか、ディフェンダーとして相手を阻止する
- ゾーンコントロール:キャプチャーゾーンを攻撃/防衛する
- ドミネーション:3つのキャプチャーゾーンを制圧して守る
- オキュパイ:時間経過で場所が変わる1つのキャプチャーゾーンの制圧を目指す
- ホットショット:敵を倒して懸賞金を獲得していく。このモードのみエリアではなく人間が目標
「エスコート」と「ゾーンコントロール」は攻撃と防衛に分かれるタイプのモードで、「ドミネーション」と「オキュパイ」は両チームが指定のエリアに向かうものという違いがありますが、個人のスコアよりもチームとして連携し、勝利を求める点は全モード共通です。
エックスディファイアントの魅力:シンプルな楽しさ&やり込み要素
『エックスディファイアント』の魅力は、シンプルで、ゲームとして分かりやすいことにあります。
- 面白さ1:シンプルなラン&ガン。難しいことは抜きにして走り回れる楽しさがある
- 面白さ2:武器のレベルを上げてカスタマイズし、さまざまなスタイルを試せる
昨今ではタクティカルシューター、つまりリスポーンが無く緊張感にあふれるゲームも人気を博しています。一方で『エックスディファイアント』はリスポーン無制限なので、「とにかく自由に走り回りたい」、「少しくらいエイムがガバっても見逃して欲しい」、「誰でも良いから撃ち合い勝負に付き合って欲しい」というCoD系ゲーマーにおすすめです。
エックスディファイアント:ロードアウト
ロードアウトは「武器2種+投げもの1種」のみで、ここに勢力アビリティセットが加わります(勢力については後述)。
- ロードアウト構成
- メイン武器(アタッチメントのカスタマイズ可能)
- サブ武器(アタッチメントのカスタマイズ可能)
- 投擲物(1スポーンにつき1つのみ)
- 勢力アビリティ
- パッシブ特性(常時発動)
- アビリティ(クールダウン式で、デスしてもタイマーリセットされない)
- ウルトラ(チャージ式。対戦1回につき1~2回、パフォーマンスやゲームモード次第では3回ほど発動できる)
このように対戦中の選択肢がシンプルですが、ゲームのルールも1回やれば分かるようなものになっており、初心者の関門としてありがちな「覚えることが多すぎる」という悩みとは無縁です。対戦1回あたりにかかる時間も短く、繰り返しプレイしやすいつくりになっています。
エックスディファイアント:武器レベルを上げてやりこむ
「シンプル」なのは「飽きやすい」のと同じだと思われるでしょうが、『エックスディファイアント』ではプレイヤーレベルだけでなく、武器にもレベルが設定されている点がポイントです。
武器レベルを上げて新しいアタッチメントをアンロックし、それらを組み合わせることで、武器の長所を延ばすか、短所を埋め合わせるかといった、自分のスタイルに合わせたカスタマイズが可能になります。
自己流にカスタマイズした武器を持っていくことで、対戦するたびに違った体験が得られ、もし期待したようなパフォーマンスが出なかったときはもう一度カスタマイズを見直す...、といった楽しみ方があります。
モードや状況ごとにロードアウトを用意しておき、調整しながら完成度を高め、ランクの頂点を目指していく、というのが繰り返しプレイをするモチベーションになるでしょう。
なお、ダメージが変化するアタッチメントもありますが、ダメージを上げると他の部分にペナルティがかかってバランスが取られるようになっているため、「アタッチメントをすべてアンロックしているプレイヤーほど有利」という不公平な状況には陥りません。アタッチメントはあくまで、武器の性能ではなく性質、プレイヤーの好みに関わるものです。
レベル上げの後半で手に入る武器やアタッチメントの方が便利で有利になっている可能性はありますが、いずれにせよベータ時点では検証不能な部分です。
エックスディファイアント:勢力アビリティの性能
ロードアウトとは別に、対戦時にセットする「勢力アビリティ」があります。ベータでは5種の勢力が選択できました(最初は4勢力で、『ウォッチドッグ2』の勢力「デッドセック」はベータ後半から使用可能になった)。
それぞれの勢力には以下の特徴があります。ここもシンプルで分かりやすい。
- クリーナーズ(『ディビジョン』シリーズ):攻撃特化で、銃弾がすべて焼夷弾になる
- ファントムズ(『ゴーストリコン ファントムズ』):磁気バリケードやシールドで防衛を支援
- リベルタード(『ファークライ6』):回復と最大HPのブースト
- エシュロン(『スプリンターセル』シリーズ):情報担当。自分の姿を隠し、敵の位置をさらす
- デッドセック(『ウォッチドッグス2』):敵を妨害して自らのリソースを増やす
ベータ時点でもメタが変化していた?
バランスやメタについて言うと、ベータ開始当初はほぼリベルタード一色という印象を受けました。回復しつつ、最大HPにブーストもかけられるリベルタードの勢力アビリティは、撃ち合いを有利に進められるため、分かりやすさとお手軽さでは間違いなくトップでしょう。
しかしその後、短期間で研究が進んだのか(もしくはリベルタードに飽きたのか)、最初から120HPありバリケードも張れるファントムズも見かけるようになりました。また、公式Discordの議論では「クリーナーズは最弱で強化が必要」という意見も見かけましたが、そのクリーナーズも、アビリティで複数の敵を瞬殺できるポテンシャルが注目されたのか、使用者が徐々に増え、クリーナーズを使ってのキル数トップのプレイヤーも増えていったという印象です。
エシュロンについては、敵全体にウォールハックをかける「ソナーゴーグル」が期待した効果を得やすいウルトラで、ベータ全体で安定して使われていた印象です。目標地点を一気に攻め崩したいときや、逆に目標地点を確保した後にやって来る敵を迎撃したいときに使用すると、容易に相手チームをせん滅できます。
「アビリティじゃんけん」になる心配はナシ
『エックスディファイアント』にはこのようにアビリティバトルの側面はあるものの、ベータ時点ではバランス問題を生み出す要素だとは感じませんでした。相性差によって撃ち合う前から対面の勝敗が決まってしまうような、いわば「アビリティじゃんけん」な面もなく、あくまで使用タイミングや顔出しの仕方など、個々のスキルに結果が伴います。
強いて言うなら、勢力アビリティのハックや無効化ができる「デッドセック」には危険なポテンシャルがあるでしょう。デッドセックのアビリティは、現在だけでなく、今後追加されるであろうすべての勢力のアビリティも無効化できることを示唆しています。
そもそもリスポーンは無制限で、アビリティはクールダウン&チャージ式で乱用ができないようになっているため、やはり基本は「ガンファイトで決着をつけよう。アビリティはおまけ」というデザイン意図であると察せられます。
純粋なガンファイター以外をどう楽しませるか
『エックスディファイアント』は「基本プレイ無料のカジュアルシューター」で、「ロードアウトもルールもシンプルで分かりやすい」ことや、「手軽にプレイしやすい」点が魅力として数えられそうです。敵もハイライトされて視認性が良く、マップ投票機能もあり、キャラコンのメカニズムは他のカジュアルシューターでの経験値を応用できるものです(ただしキャラコンには意図的な制約もある模様。詳しくはこちらの記事もご確認ください)。
しかし一方では、このシンプルさ、つまりガンスキルとゲームセンスという、FPSの基礎的な技術がとりわけ重要であることは、『エックスディファイアント』をむしろニッチなゲームにしているという懸念も抱きました。
シンプルなルールとロードアウトは、逆に言うと安定した高スコアを再現する手段が限られているとも言えるため、ガンファイトが苦手なプレイヤーが楽しめないことや、そもそも興味を持ってもらえないことが懸念されます。
その点では、たとえばUbisoftの『レインボーシックス シージ』のように、創意工夫の幅が広く、極端な場合ゼロキルでもMVPになるチャンスまであるようなタクティカルシューターの方が、アリーナシューターの『エックスディファイアント』よりもむしろプレイしやすいでしょう。
「ごまかし」の手段があっても良い?
他社のカジュアルシューターは、基礎的なシンプルさにどのような味付けを施しているのでしょうか。そこではたとえば、「航空支援を要請してノーリスクで多くの敵を爆撃する」、「戦車や航空機に乗って暴れる」、「回復数ナンバー1などキル以外の形で表彰する」、「AIも入り乱れるモードを作る」など、ガンスキルが必ずしも高くは無いプレイヤーでもヒーローになった感覚が得られる、さまざまな工夫が取り入れられています。
『エックスディファイアント』も正式リリースに向けては、“撃ち合い最強プレイヤー”ではないプレイヤーもより遊びやすくするための、「ごまかし」の手段を補強して欲しいと思いました。
もちろんロードアウトの構成要素を増やしたり、役割分担システムを導入したりするのは、ゲーム性そのものが変わるため現実的ではありません。
しかし、より大味なモードやマップ(たとえば極端に狭いもの)を追加したり、スコアの配点方式を調整したり、MVPのバリエーションを増やしたり、道草的なチャレンジをさらに充実させたりすることは可能と思われます。
撃ち合いが苦手でも、あるいは「たまたま運が良かっただけ」のプレイヤーでも満足できるような仕組みが、多様にあっても良いと感じました。もちろん、「ラッキーキル」を好まないゲーマーも多いので、ここは意見が分かれるところでしょう。
『エックスディファイアント』の配信日はまだ不明、続報に期待
ここまでベータ版の『エックスディファイアント』体験について述べてきましたが、気になるのは正式リリースの日程です。
プロデューサーのMark Rubin氏も、リリース日程について多くの問い合わせを受けたことをTwitterで明かしています。しかし実際には、ベータ時点で修正すべき不具合が多数見つかっており、さらにデータフィードバックを受けての調整や、他の新規コンテンツの開発も踏まえると、リリース日程は開発側にも分からないのが現状のようです。続報を待つしかないでしょう。
ちなみに、『エックスディファイアント』は「Ubisoftオールスターズ」なゲームでもあり、練習用モードには『レインボーシックス シージ』や『フォーオナー』など、『エックスディファイアント』に登場していない作品からのオブジェクト類がそのまま展示されています。もしかしたらリリース後の追加コンテンツとして、さらに多くの歴代タイトルからプレイアブルな勢力が登場するのかもしれません。
アリーナシューター『エックスディファイアント』は基本プレイ無料のゲームとして、PC版とPS・Xbox版それぞれでリリースされます。シンプルなガンファイトが楽しみたいFPSファンの方は、正式リリースの暁にはぜひプレイしてみてください。
- タイトル:『XDefiant(エックスディファイアント)』
- 発売日:2023年夏予定
- 対象機種:PC / PS5 /PS4 / Xbox Series X|S / Xbox One
Source: In-game
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コメント
コメント一覧 (5件)
まあ日本はCoDもそうだけどアジアサーバーは統一で中国や韓国ばかりだから
少しのラグと遅延で勝てないんですけどね
ラグ酷いのだけどうにかしてくれ
割と素直に面白いと思ったけど基本無料として成り立たせるほど大勢の客集めるとなるとどうなのかなって感じ。
面白いけど毎日熱中してプレイって感じではない。
あとやっぱりubiの鯖はゴミ。
数多ある開発者の何人かが関わってるだけで、産みの親ではないやろ
ベータやって一番気になったのはUIのダサさと使いづらさだな
CoDのUIをずっとダサいし見づらいし最悪だなと思ってたけど、まさか生みの親由来とは思わんかった