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『Call of Duty』の舞台裏:CoDサーバーを支えるオンラインチーム”DemonWare”とは

CoD: サーバーを裏で支えるオンラインチーム”DemonWare”の存在
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Activisionの子会社であるアイルランドのソフトウェア会社DemonWareが、Polygonのロングインタビューに応じています。『Call of Duty 4: Modern Warfare』の失敗、DemonWareの歴史、そして『Call of Duty』の歴史が語られます。またオンラインゲームを支える事の大変さがよく分かる貴重なインタビューです。


2013年は『SimCity』、『GTA Online』、『Battlefield 4』など様々なゲームのオンラインで問題が相次ぎました。一方『Call of Duty』は他のゲームが直面するような大きな混乱もなく、新たなタイトルを送り出し続けています。今回そのオンライン対戦を影で支えるオンラインチーム”DemonWare“がインタビューに答えています。

CONTENTS

DemonWare

2007年、Activisionはアイルランドのダブリンに本拠を構えるミドルウェア会社を購入する。その会社はコンソールとPCゲームオンラインの先端技術を専門としていた。ActivisionのCEO、Mike Griffith氏はその後の数年間にオンラインゲームは一気に拡大することを予想し、オンラインマルチプレイヤーの開発で生じる課題を解決するために、DemonWare社がその助けになることを期待していたのだ。

DemonWareは2003年に独立会社としてスタートする。

DemonWare社チーフテクノロジーの John Kirk氏は、Polygonとのインタビューでこう話す。

“2005年当時はまだ12人か14人位の小さなグループでした。私はカナダのバンクーバーに行って事務所を開設することになります。ほとんどの顧客は西海岸だったので、時差の影響を受けずに彼らのサポートをすることができました。”

その時すでにDemonWareは様々なゲームの手助けを行なっていた。その中には『Call of Duty 2: Big Red One』、『Call of Duty 3』、そしてナムコ、セガ、THQ、Ubisoftなどのゲームもあった。買収が済んだ後、DemonWareは既存の契約を全て終了させ、Activisionのゲームに集中することになる。

CoD_Demonware

Activisionでオンラインテクノロジーの部長を務めるPat Griffith氏によると、当初のDemonWareの担当はPlayStation 2とPlayStation 3 でのマッチメイキングとストレージシステムのサポートだったという。そして『Call of Duty: Big Red One』と『Call of Duty 3』での仕事ぶりがパブリッシャーから評価されることになる。

“『Call of Duty: Big Red One』と『Call of Duty 3』に関してTreyarch との共同作業をする上で、DemonWareのコラボレーションのレベルは私たちが今まで見たどのスタジオよりも抜きん出ていた。”Griffith氏はそう語る。

“優れた能力を持つクルーをDemonWareで見つけることができました。そして彼らはすぐにその並外れたレベルの知識と経験を私たちのゲームエンジンで実演してくれたのです。”

『Modern Warfare』は失敗の連続

DemonWareが学んだ多くのこと、そして『Call of Duty』がスムースにオンラインを開始することができる理由の多くは、『Call of Duty 4: Modern Warfare』オンラインで経験した悲惨な体験から来るものだ。

“『Modern Warfare』が登場したときは、ブロードバンド・インターネット接続が増大した時期でもあり、他の多くがそうであったように私たちも多くの問題を抱えることなります。”

ゲームの成功はある意味不幸な結果も生むことになったと、Griffith氏は話す。

“『Modern Warfare』のセールスは自分たちが予想していた以上に成功することになり、私たちはそれに備えることになった。”

PlayStation 3版とXbox 360版は2007年12月までに2ミリオンのセールスを記録する。そして1月には全世界で7ミリオン、2008年5月には13ミリオンにまで到達していた。

しかしパブリッシャー、デベロッパー、そして DemonWareはそれだけのセールスに対する準備が整っていなかった。どれだけの規模のサーバーサポートを必要とするかのオンライン計画は、ゲームのセールス計画に基づいているものだ。さらに悪いことに、ブロードバンド・インターネットが2008年の中頃までにどれだけ浸透しているかについても、誰もが甘く見ていた。

“予想していたよりも多くの人が『Modern Warfare』を購入しただけでなく、接続人数についても想定を超えていました。あの年のクリスマス以降は非常に大変な時期を迎えることになりました。”

DemonWareが対応しきれないスピードで問題が起こり、頻繁にダウンするシステムはゲームの他の部分にも波及することになった。

しかしその試練がDemonWareとActivisionのコアとなる信念を生むことになる。

“私たちが学んだ教訓のほとんどは、あの時期に生まれたものです。私たちが何かを作る上での土台を与えてくれた。『Modern Warfare』における私たちの哲学が生まれた時期だともいえます。”

CoD_Demonware (2)

学んだ教訓

DemonWareはオンラインゲームをつくる上で鍵となるルールをいくつも持っているが、最も重要なことはコミュニケーションだという。

150人を超えるDemonWareのチームは、あるタイトルが開発されている間もただ黙って座っているわけではない。ゲームデベロッパーと緊密にコミュニケーションを取り、ゲームやオンライン機能を形作る手助けをする。

DemonWareのKirk氏はこう述べた。“Activisionがそのタイトルの青信号を出すまで、私たちは関わります。オンラインのプランは?それは実行可能か?それは技術的に可能か?タイトルのサイズは?そしてそれらは全て試されることになります。開発期間を通して試し続けます。”

何年にも渡ってDemonWareは、戦績トラッキングやリーダーボード・サービスなどのオンラインツール、サービスをまとめ上げてきた。彼らエンジニアによって、ゲームの最中に必要なときにいつでもそれらを利用できるようにされている。

ある時にはそれらのツールをカスタマイズし、最終的に上手くいかないと判断したときには、新たなオンラインツールをデザインし直す。そういったことは週を通して常にやってきて、時には連絡受けてミーティングを開きその場で対応することもあるとKirk氏は言う。

彼らにとって重要なゴールは、ゲームに搭載されるものが何であれオンライン体験を壊してしまうことがないようにすることだ。一度サービスがシステムに組み込まれると、Demonwareはテストを開始し、壊す可能性があるものを徹底的に試す。

DemonWareが『Modern Warfare』から学んだもう1つのコアとなる教訓は、仮に何かが不具合を起こしたとしても、他のものがダウンすることはないようにすることだ。

“オンラインシステムに起こることの1つとして、もしシステムのどれかがダウンしたとき、それがシステム全体すらもダウンさせてしまうことがあります。これは魔法などではなく、誰も知らないような特別なことでもないと思います。しかし1つの不具合がドミノ倒しを起こさないために、システムのグループを分離、個別化しようとすることは非常に難しいかもしれません。”

Kirk氏はゴーストを例にとる。“ゲームをプレイするのに必要なものは、小さなサブセットだけです。もし仮にプレイヤーをカウントしてヒートマップを作るシステムがダウンした場合でも、ゲームプレイに影響を与えることはありません。プレイヤーは自分のプロファイルにアクセスし、マッチメイキングを開始してゲームに参加することができます。それこそが私たちが重視していることなのです。コアのシステムは必ず正常に動くようにしなければなりません。”

ケーススタディ

『Call of Duty』のオンラインを開始した場合に起きる出来事を、DemonWareのJohn Kirk氏が説明する。

例えばPlayStation 3でゲームを起動したとき、 ActivisionはSonyに対する個人確認のためにゲーム機認証を行なう。それにより、シームレスにSonyのシステムにログインすることができる。

ログインが済むと、ゲームはDemonWareのストレージシステムにアクセスして、プレイヤーのプロファイル、ロードアウトなどを取り出す。

もしフレンドがオンラインかどうかを知りたいのであれば、そこへ行ってフレンドの状態も確認することができる。

次にゲームはその日のメッセージを取り出す。そしてあなたが何をするかにもよるが、ヒートマップ、リーダーボード、マッチメイキングのような様々なシステムにアクセスを行なう。

“それら全てが私たちによって作られたバックエンド・サービスです。沢山のシステムを何年もかけて作りました。マッチメイキング、ロードアウト、ユーザー・プロファイル、『Black Ops』タイトルにあったようなシアターモードもそうです。”

デベロッパーが追加したいオンライン付加機能が、いつもオンラインに実装されるとは限らない。必要とあればDemonWareはその機能をカットすることもできる。その機能がオンラインの安定性にどのような影響を与えるかによって、決定が下されることになる。

“私たちのチームには沢山賢い人達がいて、彼らがその機能をさらに煮詰めます。どんなデータが保存される必要があり、どれだけの頻度でアクセスし使用されるのかを見ます。このバックエンドシステムを選択したのなら、データベースはスケールし直すことができるか?この問題は追跡可能か?問題を起こすようなものはどこかにあるか?”

もしそれが簡単で変換可能な機能であれば、すぐに取り入れられる。そうでないのなら、問題解決に向け作業を開始することになる。

“何かが心配になって、デザイン変更の手伝いを始めることもあります。スタジオと一緒になって様々なアイデアを出し、どうすればより安全で成功するものになるかを考えます。”

そしてそのような問題こそが何よりエンジニアが望んでいることだという。Kirk氏は彼らエンジニアを”テクノロジスト”と呼ぶ。

“自分たちの残りの人生を、ただ単にマッチメイキングの仕事をするだけに費やしたくはありません。
新しく搭載される機能はどのようなものになるのか。デディケイテッド・サーバーは?データハウスにブランチ化するのか?私たちはいつもチャレンジと向き合っています。”

Kirk氏いわく、ある機能をカットすることは可能であるものの、そういったことが起こることは稀だという。

CoD_Demonware (3)

“スタジオの人たちと一緒に仕事をしています。そこには沢山のホワイトボードがあって、基本的に彼らは何かのアイデアを説明します。”

“過去の『Black Ops』タイトルを振り返ってみましょう。プレイされた全ての試合を録画するアイデアは、自分達にとっては狂気の沙汰のように思えました。しかし私たちはそれを試し、実際に動くシステムを作り上げます。色々なことがありますが、とにかく出来上がります。もしかすると、当初スタジオが思い描いていたものとは違っていたかもしれません。しかし沢山の時間を経て、それらは前に進んでいくのです。”

ゲームのオンライン・コンポーネントを作るとき、基本的にDemonWareと開発会社のActivisionはbandwidthを他のリソースと同様に扱う。

“CPUの資産があって、レンダリング、AI、サウンドなどのために使われます。それらを上手く割り当てることが出来るように注意します。”

Griffith氏の言葉を借りると、それは編集上のカットではなく”微調整”だという。

“色々なことが組み合わさって、何か危険なことが起こることが多々あります。接続過多であったり、大量に使用されることでコントロールを失うこともあるかもしれない。プレイヤーによって引き起こされることもあるし、ソフトウェア開発者自身によることもあります。ゲームクライアントは失敗を生じさせてしまうやり方で設計されてしまうものです。”

“ゲームを走らせ続けることが最も重要なことです。したがって、消費者の自宅にあるゲーム機との貴重なコネクションをどのように使用するのかについて、決断を下すこともあります。”

ゲームの枠を超えたポップカルチャー

色々な意味において、『Call of Duty』はより一層娯楽になってきている。多くの人にとって、テレビのようなエンターテイメントとして、いつも稼動していて楽しませてくれる。

ActivisionとDemonWareは単に1つの『Call of Duty』をサポートすればよいのではない。現在Xbox Liveの上位20のタイトルのうち、5つは『Call of Duty』のゲームが占めている。10ミリオンものプレイヤーが同時にDemonWareの技術に押し寄せていることになる。

“もはやゲームという枠を超え、ポップカルチャーの域に達しているでしょう。リラックスしたり、他人と関わるための手段として見なされているのです。そして私たちにとってはそれ以上のものです。ビジネスであり、暮らしでもあり、私たちはファンの皆さんに対して恩があります。だからこそ、常に稼動し続け、最高の状態で届けられるようにしているのです。”Suarez氏はそう語る。

“これは24時間常に活動中のオペレーションです。ユーザー体験をより良くするためにいつもアップデート作業を行います。それが私たちの全てなのです。”

Griffith氏はゲーム、サービスの双方を見ている。Twitchのゲームプレイがあって、そこではアドレナリンが常に駆け巡っている。しかしもしあなたがゲームに入ることが出来なかったら。もしゲームのオンラインを起動出来なかったら。それでは話が始まらないだろう。

CoD_Demonware (4)

恐怖感

DemonWareにとってオンラインゲームのロンチ時に感じる恐怖や不安は、少しは和らぐことはあるものの、それは決して消え去ることはない。

“どれだけ準備を重ねても、発売日が近づくといつもナーバスになり緊張が高まります。”DemonWareのKirk氏はそう話す。

“可能な限りテストを繰り返したとしても、実際に人々がゲームをプレイし始めたときには、違った行動をとります。私たちはそれに備える準備をしておかなければいけません。バックエンドでは様々な人材が働いているおかげで、よく見られる問題についてはすでに解決策を持っています。自分たちにとって物事をスケールアップするようなことは容易いことです。もし新たなデータベースが必要であったり、読み込み容量を増やしたい、あるいは書き込み容量増やしたいとなれば、やるべきことはすでに分かっています。何度も経験済みのことなのです。”

恐怖を感じるのはロンチ日だけではない。DLCに関する不安、そして最初のタイトルアップデートにもそういった感情に襲われることになる。1週間通してずっと、DemonWareのエンジニアはグラフを観察し、1日24時間の動きをチャート化する。そうやって最初は新しいパターンであったものが最終的には一般化されることになる。そして『Call of Duty』オンラインの舞台裏で働く彼らは、ようやく安心することができる。少なくとも次の『Call of Duty』のタイトルを迎えるまでは。

Suarez氏によると、そうした不安や努力の全ては、ゲーマーが彼らのオンラインゲームを信頼していると知っているからこそだという。Amazonで何かを購入したり、Netflixで映画を見たりするように確かなものであると見なされている。

“『Call of Duty』の消費者がゲームを開始して数時間もプレイするときには、彼らはきっと満足感を得たいはずです。それこそが自分たちがお客に提供しているものであり、だからこそ必死に働いています。一日の終わりには、彼らが何を求めているのかも知ることができます。そうして私たちはインフラに投資をしています。なぜならそれが私たちのビジネスにとって重要なことなのです。”

そして初期に行なったDemonWareに対する投資は、Activisionがオンラインゲームを混乱なく送り出すこと上で重要な要素であったと、Griffith 氏は語る。

“これまでも述べたように、DemonWareは私たちのオンラインゲームの成功にとって欠かすことができません。彼らは安定したプラットフォームや、ゲームがどのようにプレイされているかについて価値あるデータを提供してくれます。DemonWareと開発スタジオであるInfinity Ward、Treyarch との共同作業のおかげで、ゲームチームはより優れたものを作ることに集中することができるのです。

Source:Polygon


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コメント

コメント一覧 (10件)

  • ひとつ忘れてた。ACTIVISIONはなぜ批判されても
    売上が下がらないかと言うと批判してる人達は
    CODが良作と言う事に気付いていないだけ。
    だからこそ開発者一同はみなプライドが高い。

  • オンラインゲーの仕事してみろよクソゲーとか言ってる奴。
    まあクソゲーとか言ってる奴は下手か
    ハードコアゲーマーじゃないからか。
    ゲームに対して愛が足りないんだよ他の奴ら。

    • 君のコメント2つとも見たけど
      何が言いたいのかさっぱりわかりません。
      CODをやっているってことは18歳以上だろ???
      もう少し自分の中で考えてからコメントしよう!!!

  • たくさんの人が苦労して努力して作っても、マルチプレイのゲームはバランスとか調整面がクソだと一気にクソゲーと化すのは宿命だからしょうがない

  • 頭が馬鹿だと手足が苦労するいい例だと思うんだけど

  • この記事読んだら、何も知らずにクソゲーって言ってた自分が恥ずかしくなった。
    どんな仕事も日の当たる仕事だけじゃないんだよな。それを改めて認識させられたよ。

  • こういう記事見てもひたすら批判しかできないような低能が必ず沸く(日本でも海外でも)
    Activisionのそういう批判にほとんど耳を傾けない姿勢は立派だと思うよ

    だからこそ売れてるんだと思うし

  • 簡単にオンラインゲームをクソゲークソゲーって言っちゃいけないように思えてきた。

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