ゲーマー国勢調査2023 結果発表!

eスポーツトップランナー:DetonatioN Gaming CEO 梅崎氏「まだまだ皆さん本当のeスポーツの中身を知らない」

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国内で認知度が上がり、飛ぶ鳥を落とす勢いで注目され始めている e スポーツ。日本トップチームを運営する DetonatioN Gaming CEO 梅崎氏に、今の e スポーツブームに対する捉え方、今後の展望や気になるマネタイズ方法までインタビューしました。

CONTENTS

梅崎氏に聞く e スポーツの現状

現在の e スポーツについてどう感じてますか?

梅崎氏2、3 年前に比べたら非常に認知度が上がってきていることは間違いないと思っています。日本のプロチームも現状で 40 チームほどがプロと名乗っており、チーム数が非常に増えてきているという状況になってきています。競争も激化しているので、僕としてはプラスには考えていますが、やはり皆さんが持ち上げている感があります。一瞬のブームになってはいけないなと強くそこは感じています。

周りの目も非常に変わってきました。例えば、企業様と打ち合わせする時も「最近 e スポーツすごいよね」とか、「こないだテレビで見たよ」という話が非常に多くなりました。そこはすごく嬉しい事ですし、「e スポーツの事を知りたい」「スポンサーになりたい」という動きが沢山増えてきています。ですが、まだまだ皆さん、本当の e スポーツの中身を知っていないというか、さわりの所、「e スポーツ = ゲームでしょ。ただ遊ぶだけなんじゃないの」などそういった話なども出てきています。

しっかりと一般の方々にも理解をされるような、業界全体にもっとわかりやすく、いろんな人に知ってもらえるような取り組みをしていかなくてはと思っています。

具体的にどのような取り組みなど、考えていることはありますか?

梅崎氏:積極的に講演をしたり、最近では我々のゲーミングハウスがある江戸川区の方からイベントを欲しいと依頼を受けました。最近若者が e スポーツと言い始めているので、そこで講演会や対戦会などを実施できないかというお話でした。DetonatioN Gaming としては、若年層や年齢が上の方々、おじいちゃんおばあちゃんといったような年齢層の方々にも一緒に話をして、実際に e スポーツを感じ取ってもらえるようなイベントや会を開いていきたいと思っています。以前も講演などを行ってきましたが、まさか区からお話が来るとは思ってもみませんでした。現状 10 月、または 11 月の講演を予定しています。

今後 e スポーツはどのように発展していくと思いますか?

梅崎氏:現状たくさんのプロゲーミングチームが出来てきていますが、チームの中でしっかりとマネージメントが出来ているチームと出来ていないチームとの差が大きく分かれてきています。

選手ですと、多くの選手が"プロ"と名乗っていますが、世界と比べた時の実力差は雲泥の差があります。若い人たちがプロゲーマーを目指したい、プロチームの門を叩きたい、という人がどんどん増えてきたほしいなと思っています。僕としては J リーグのように、各チームがユースチームを持って、18 歳以下やプロリーグに参加できないような選手たちを取り入れて育てていく、という座組が必要かなと思っています。

スポンサー様が沢山ついていただけるようになりましたが、新しく参入してきた方たちやスポンサーをしたいという人たちの話を聞くと、まずは「流行に乗っからないとまずい」といった気持ちの方が多い印象です。今後の e スポーツを発展させていくには e スポーツの本質を知ってもらって、一緒にイベントを作り上げていく、コミュニティーと企業様を絡めて一緒にやっていく、実際に選手が頑張っている姿を一緒に大会を応援する、といったことをどんどんやっていかなくてはいけないなと思っています。

今感じ取っているのはカジュアルにスマホゲームをプレイする方も増えてきていますが、世界大会に繋がるものはまだまだ PC プラットフォームが多いです。最近になってコンソール機やモバイルで世界大会に繋がるタイトルも増えてきましたが。

本当にプロを目指したい、PC やモバイルなど共存して運営しているゲームタイトルの中で、コアでやっていきたいという人達は PC といった形で、今後は分かれるのではないかなと思います。とあるゲームタイトルでは、家庭用ゲーム機出身で PC 版に移行したトップ勢も非常に多いです。

e スポーツ関連の協会、アジア大会、国体などの動きについてどう感じていますか?

梅崎氏:ウィニングイレブンの日本勢が金メダルを取ったということで、グローバルでも日本の中でも大きくメディアに取り上げられているところがすごくいいなと思っています。アジアオリンピックもそうですし、国体もそうですが、それによって僕の方に高校から「部活を作りたい」という依頼が来ました。

冒頭でも話しましたが、e スポーツでプロゲーマーになりたいという若者たちが増えるきっかけになり、高校の方でも部活にしやすくなったというのが非常にプラスになったと感じております。業界を今まで支えてきてくれた方々が頑張ってきてくれたおかげで、プロからスタートし、そのあとに大学のサークル、ようやく次の段階で高校の部活という話が出来上がってきているので、アジアオリンピックと国体は裾野を広げる上では、非常にプラスになっているなと思います。

毎年 e スポーツが国体で採用されれば各都道府県で e スポーツについて知ってもらえる機会が増える。国体は高校の部活チームなどが参加できる権利を持っているので、そういったところでも裾野を広げる上で非常に大きく貢献していると思います。

GeForce RTX 2080 Ti を持つ梅崎氏

1 千万円を稼げるプレイヤーがようやく出てきた

日本と違うところなど、世界の e スポーツ事情について教えてくれませんか?

梅崎氏:アメリカ、中国、韓国、ヨーロッパ、台湾など、昔から e スポーツ先進国と言われているところが非常の伸びてきており、『League of Legends(以下 LoL )』 や 『Overwatch』ではアメリカの方でフランチャイズが始まり、各都市とチームが一緒になって拠点を持っています。地域密着でやっていく動きが始まっています。日本では未だ実現できないことですが、都市から支援金を頂き、それを基に良い選手を海外から招集したり、スタジアムを建設するなどといった取り組みが出来てきており、大きな差があると感じております。

また、年棒でも違いがあり、とある『DOTA 2』の選手では年棒 2 億円といったプレイヤーも出てきております。世界には億を超えるプレイヤーがたくさん存在してきているのに対して、日本では 1 億を稼げるというプレイヤーはほとんどいない。1 千万円を稼げるプレイヤーがようやく出てきたかなというのが正直な印象です。そこの差が大きいと感じます。やはり年棒が増えるとプロを目指したいと思いますよね。

若い子たちがプロを目指すというきっかけになると思うので、日本もどういった市場作りをしなくてはいけないかを考えなくてはと思います。また、韓国では政府がバックアップしてくれているのがすごく大きいと思うのと、世界では類を見ない形で大手企業様がチームを持っているというのが良い例かなと思っています。

韓国政府の具体的なバックアップの例は、どのようなことですか?

梅崎氏:例えば韓国の KeSPA(韓国の e スポーツ協会)が国から補助金をもらい、それをチームへサポートする。KeSPA に所属しているチームにはそういった保証があります。ネットカフェに対しても家賃の一部のサポートなどがあり、一般のお客様に安く提供できる理由の 1 つだそうです。別のネットカフェが徒歩 300 m 圏内にあるくらいに普及しており、韓国の政府の援助はすごいなと思います。

韓国の大手企業がチームを持っているとお話していただきましたが、どのような企業が参入してきてますか?

梅崎氏:SK Telecom や KT といった通信会社様であったり、保険会社様、Jin Air といった航空会社など、LoL に関しては独立系のチームが存在します。海外の大会ではOverwatch で TOYOTA が協賛したり、Mercedes Benz、Volkswagen なども協賛しています。食品系ではマクドナルドがスウェーデンの大会チームに協賛し、各選手のオリジナルバーガーなど発売されました。

一般的な企業が多く参入してきています。スポンサー企業の多くが「今の若者にどのような形でリーチすればよいかわからない」という風に仰ります。e スポーツを求めている企業様に共通して言えることが、企業として 40、50、60 代には知られているが、10 代、20 代に知られていない 企業が e スポーツでコアなところから攻めていこうという話が多くなってきています。

答えられる範囲で結構ですので、マネタイズ方法についてお教えいただけませんか?

梅崎氏:スポンサーに関して言うと、うちの場合パッケージにしていることが多いです。例えば 1 千万円頂けると仮定した場合、「ユニフォームへのロゴ掲載、動画制作、イベントの企画・運営、コンサルティング、共同開発」などをパッケージとして売っています。

チーム内でクリエイティブを制作できる社員、台本作りから大会運営を全部できる社員も揃っており、すべて自チーム内で完結できるので、安価に提供できます。

例えば、別の業者に発注する場合 100 万円かかるところが 30 万円で提供出来たりします。そのようなところにメリットを感じていただけて、トータルで金額を提示させていただいております。うちの場合はこの形で売り上げを多く上げています。

グッズの売り上げも多いです。先月でも数百万円の売り上げがあり、年間で数千万円ほどの売り上げまで行くようになりました。新作グッズが出ると、自分用とサイン用に分けて 2 つ購入してくれる熱狂的なファンもいます。企画から人脈を繋げる、個別コンサルティングも行っています。

チーム発足のきっかけは何ですか?

梅崎氏:とあるゲームタイトルで世界大会が発表され、その大会に向けて世界を目指したいチームを作りたいと思い、DetonatioN Gaming を発足したのがきっかけです。

DetonatioN Gaming が成功した鍵などあれば教えてください。

梅崎氏:どこよりも早くマルチゲーミング化を進めていったのがすごく大きいのかなと思っています。初めは 1 つのタイトルだけでしたが、これだけだとチームとしての認知度も低いと感じ、もっと色んな人に知ってもらうためにはどうすればいいか?と考えました。

当時メンバーの 1 人が『LoL』が面白そうと教えてくれました。調べてみるとすごく楽しそうで、チームを持ちたいと思いました。色々と相談した結果できたのが DetonatioN Focus Me でした。多角化していく中で、当時主軸となっていたのが『LoL』『StarCraft』『World of Tanks』の 3 つ。『World of Tanks』でいうと World Cyber Game で世界ベスト 8 まで行きました。

そのようなきっかけがあり、色んなスポンサー様と繋がりを持つことが出来ました。当時はスポンサー料など全然発生しませんでした。それでも一緒にやっていったことで、強い選手も集まってきてくれましたし、大会で勝つことも非常に多かったので知名度もどんどん上がっていきました。もう 1 つ大きかったのは、僕が会社を辞めたことです。

スポンサー様が増えてきて、打ち合わせが平日のお昼などになることが多く、これ以上働いてる会社にも迷惑を掛けれないので、辞めなくてはいけないなと思ったのが 1 つのきっかけです。辞めるのを決心したのが 2014 年の 9 月、東京ゲームショウで『LoL』のグランドファイナルがありました。そこで逆転勝利を収め、すごく感動してこのチームで共にずっと歩んでいきたい、この子たちが食べていける環境を作っていきたいと思い、年末に会社を退社しました。

そこからお金を支援していただいたり、自分の貯金を使って、ゲーミングハウスの設置とフルタイム制を行いました。それがきっかけで沢山のメディア様に知ってもらうこととなりました。露出が増えたことにより、さらに知名度が上がり、スポンサー様もどんどんついていき、既存のスポンサー様も今まで 0 円だったスポンサー料にお金が発生したり、次第に急成長に繋がったというのがあります。

今思えば何かしらの道筋があったような感じでした。困ったときにはスポンサー様が現れたり、チームの誰かがブレイクするなどそういったことが多かったです。

プロゲーマーになりたいという若者が増えてきていると思いますが、どのような基準で人選していますか?

梅崎氏:1 つはストイックさです。プロゲーマーでいろいろと面接はしますが、最近の若者はストイックさを感じる人が少なくなってきたなと思います。プロチームが沢山増えてきたというのもあるかもしれませんが、ひたむきに勝ちたいという選手がすごく少なくなったなと思っています。うちはストイックで熱い想いを持った選手とやりたい。本当にそこだけです。

DetonatioN Gaming ならではの待遇などあれば教えてくれませんか?

梅崎氏:スポンサー様関係の製品はたくさん支給されます。ゲーミングデバイスであったり、プロバイダーの無償契約だったり、食品系も必要なだけ支給できます。こういった物的支援もありますが、一番大きいのは最低保証のお金を入れているというところだと思います。

ただし、そこから成りあがるか成り上がらないかはその人次第といったところはあります。

大会前のジンクスはありますか?

梅崎氏:必ず円陣を組みます。掛け声は「Go!勝つぞ!DFM!」。

現在の活動をお教えください。

梅崎氏:直近でも沢山活動があります。『LoL』が9 / 15(土) League of Legends Japan League Summer Final、『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』では 9 / 22(土)東京ゲームショウで大会、『Call of Duty』に関しても、9 / 23(日)東京ゲームショウで決勝戦があります。『クラッシュ・ロワイヤル』も、10 月からプロリーグが始まり、『ストリートファイターV』も RAGE のプロオールスターでも優勝し、CAPCOM ツアーに出て大忙しです。

気になるタイトルなどありますか?

梅崎氏:『Battlefield V』です。やはり DetonatioN Gaming と言えば『Battlefield』と言うのがありますので、e スポーツとしてやれると踏んだら全力でやりたいと思っております。

最後に DetonatioN Gaming 内での「GeForce」の使用率など分かればお教えください。

梅崎氏:使用率は 100 % です。選手全員が「GeForce」を使用しています。


 

国内の e スポーツ市場をゼロから開拓し、日本のプロゲーマーが食べていける環境を作った非常に貴重なお話を聞くことが出来ました。長文インタビューありがとうございました。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • eスポカフェとかあったけどあんな感じでPCを時間でお金払って使える店がもっとあったらPCゲー流行ると思うんだよな

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