Valve傘下スタジオのValve South(当時)による名作ゾンビシューター『Left 4 Dead 2』からはや10年。元開発スタッフの集まるTurtle Rock Studiosによる新作CO-OPゾンビFPS『Back 4 Blood(バック・フォー・ブラッド)』が、2020年12月11日のThe Game Awards 2020にて発表されました。
伝説的な作品の実質続編と言える『Back 4 Blood』は、PC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X対応で、2021年6月22日に発売が予定されており、現在クローズドアルファ参加者を募集中です。
新作COOPゾンビFPS『Back 4 Blood』
『Back 4 Blood』の英語版公式サイトでは現在PC向けのクローズドアルファ参加者が募集されており、早くも12月17日にアルファが開催される予定とのこと。ただし北米大陸や一部欧州国を除いた公式サイトでは応募ボタンが表示されないので、日本やこれらの地域は対象外だと思われます。申請は自己責任で行いましょう。
『Back 4 Blood』公式FAQ
『Back 4 Blood』の開発が報じられたのは2019年3月のことで、当時のTurtle Rock Studiosのフォーラムでは公式FAQにて大まかな情報が公開されていました(現在は公式サイトに移転済み)。以下に改めてこれらの情報を要約します。
- 今までのTurtle Rock Studiosの過去作を超え、近年発売されたAAAゾンビゲームやCOOPゲームに比肩する作品を目指している。
- ゲームの価格は未定だが、一般的なAAAタイトル相当になる。
- 課金要素に関しては、今はとにかく面白いゲームを作るのに集中しており、発売後に改めて考えることになるが、もし実装するならば、コミュニティが受け入れられる形を目指す。
- バトルロイヤルモードを実装する予定はない。
- 対人モード、ストーリーモードは実装する。
- プレイヤーがミューテーションゾンビとして遊べるモードも準備している。
- プレイアブルな女性キャラは2人以上準備している。
- ゲームエンジンはUnreal Engine 4を使用している。
- 前作『Evolve』に関しての質問は、2016年以来2K Gamesが権利を保持しているので、そちらにお問い合わせください。
また、公式サイトの情報によると、『Back 4 Blood』には以下の要素も含まれているそうです:
- ストーリーモードでは最大4人協力プレイが可能なほか、ソロで仲間を引き連れて遊ぶこともできる。
- マルチ対戦モードでは人類側のCleanerと、クリーチャー側のRiddenとして戦うことができる。双方とも独自の武器やアビリティ、特殊能力を持っている。
- ローグライクなカードシステムを準備しており、プレイヤーが構築するデッキに応じてビルドが変わり、さまざまなゲームプレイを体験できる。
- AIディレクターはプレイヤーの行動に応じて、色とりどりに戦況を変化させる。
ミニコラム:断絶した名作シリーズに奇跡の継承者
2008年に、1つの傑作がFPSコミュニティを席巻しました。襲い来る数百数千ものゾンビを、プレイヤーがただ1人の力でちぎっては投げ、ちぎっては投げる。シングルゲームでAI相手に無双する楽しみを湛えつつも、飽きが来ない緩急があり、ゾンビを相手にしやすい地形探しや、リソース管理などの頭脳上の挑戦にも満ちて、しかも4人COOPで楽しさ4倍という、非の打ち所がない完璧なCOOPゲーム。その名も『Left 4 Dead』です。
その続編『Left 4 Dead 2』は前作の正統進化。面白かった部分はまるごとそのままに、ちょうど良い分量の新要素を追加して、『Left 4 Dead』の傑作性を失わないまま、さらに完璧な作品へと押し上げました。発売から2年間、『The Passing』と『The Sacrifice』という公式からのDLCマップの他にも、無数のマップクリエイターが自作マップという形で『L4D2』に愛を注ぎ込み、有志による16人プレイ可などの高度なサーバープラグインも組み合わされば、多くの個性豊かなサーバーやコミュニティが花開きました。
中には『Cold Stream』というMODから公式DLCに抜擢されたマップと、つい最近2020年9月には『The Last Stand』という9年ぶりのコミュニティアップデートも実装されました。『Left 4 Dead』シリーズは名実共に10年もの歳月を超えてプレイヤーに愛された、伝説的な作品だと言えるでしょう。しかしCOOPゲームの教科書と呼べるまでに成功したシリーズには、ファンの声虚しく、長らく続編が開発されませんでした。
もちろん『L4D2』が完璧すぎたため、これ以上新要素を加える余地がなくなった、という解釈も可能です。本体だけでは物足りなかった部分も、前述のMODやプラグインのおかげで多くのアレンジサーバーが生まれて今に至るので、プレイヤーの手によって真に完結したという見方もとれます。しかし『L4D』シリーズの場合は、作り手の都合も理由の1つでした。というのも史上最高の協力ゲームを開発したTurtle Rock Studiosにとっては、対戦モードの方が本命だったのです。
かくして方向性の違いからValveより独立したTurtle Rock Studiosは、ついに本当に自分が作りたかった、非対称アクションFPS対戦ゲームを形にします。1体の巨大で強力なモンスターを操るプレイヤーと、それぞれユニークなガジェットを持つ4人のハンターたちが狩りつ狩られつ立ち回る『Evolve』は、新奇なゲーム性から厳しい評価に晒されましたが、2018年に公式サポートが終了するまで、コアなファンたちを楽しませ続けました。
その一方でディープな『L4D2』ファンは、数百・数千ものコミュニティマップやサーバーに身を投じながらも、もう『Left 4 Dead』の続編は作られないのだろうなと諦観していましたが、2019年にTurtle Rock Studiosが「Warner Bros. Gamesと提携して新たなゾンビゲームを開発する」と発表したときは、多くのシリーズファンが湧き立ち、The Game Awards 2020で公開されたゲームプレイトレーラーも、概ね歓声をもって迎えられました。
もちろん、ポジティブな声ばかりではありません。Unreal Engine 4で構成されたステージは美しくも、Source Engine特有にして『L4D2』の魅力でもあった柔らかく滑らかな動きが欠けているように見受けられましたし、前文でも述べた通り、『L4D2』はコミュニティの尽力あって完成したゲームだとも言われています。ゲーム会社として圧倒的な技術力とノウハウを誇るValveの後押しが今回はないというのも、ファンを不安にさせるいち要素だと言えるでしょう。
しかし何はともあれ、クローズドアルファは12月17日開催です。果たして『Evolve』を通して成長したTurtle Rock Studiosの『Back 4 Blood』は『L4D2』に変わり、新たな10年を担うロングヒット作品になるのか、それとも結局『L4D2』は唯一無二の存在に終わるのか。刮目の時を、今しばらく待つことにしましょう。
TESTをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。
コメント
コメント一覧 (4件)
最近はL4D2並のヒット作見かけないから期待するわ
現状のゾンビco-opゲーってなにがいいんだろうね
個人的にはWWZが頻度的には一番高いんだけどみんなは何やってるの?
はっきり言って出来が不安だね
自分はevolveが大好きだったしずっとやってたけど欠点は本当にいくらでもあった
evolveのcoopモードはお世辞にも面白いとは言えない出来だったし元々対人ゲームが作りたくて独立したならこの作品のcoopの出来は正直期待できない
楽しみ。日本でのテストが実装されたりしたらぜひ参加したい。
turtlerockはL4D2開発スタッフではなく、初代のL4D開発スタッフな気がしますが