Ubisoft(ユービーアイソフト)は『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』の大型アップデート、イヤー8シーズン4「オペレーション・ディープフリーズ」の全貌を発表。シーズンアップデートに先がけて、新コンテンツ以外の変更点について記載した「デザイナーノート」を公開した。
デザイナーノートでは、発表後に話題となったフラググレネードへの変更や、各オペレーターへの調整について、その背景にある開発側の意図が解説されている。
『R6S』Y8S4デザイナーノート
現地時間11月28日にスタートするY8S4「オペレーション・ディープフリーズ」については、以下の記事でまとめている。今回のデザイナーノートは、発表内容を補足する解説が中心。
- 氷を操る新オペレーター「Tubarao」と固有ガジェット“ゾト・キャニスター”解説
- 新マップ「アジト」紹介:立体的な戦いが求められるデイモスの秘密基地
- フラググレネード大アップデート:“突き上げキル”不可になりフラグ持ち10人に倍増
- マーケットプレースや防衛AIプレイリストなど、Y8S4の新機能まとめ
- R6S×SF6『シージ』と『スト6』コラボ! YINGの春麗とGRIMのリュウが登場
フラググレネードの大幅アップデートについて
- 変更の目的と方針:
- 他のサブガジェットとパワーレベルを合わせたい
- フラグ持ちを増やすことで創造的なプレイを促したい
とりわけ便利なサブガジェットである「フラググレネード」がY8S4でアップデート。事実上の弱体化で、その目的の1つは「他のサブガジェットとパワーレベルをそろえる」ことにある。
Y8S3時点では、サブガジェットであるはずのフラグが、メインガジェットと同等の強さを認められている点が問題となっていた。
開発側が認識する「サブガジェット」のあるべき姿は、「メインガジェットを弱くしたもの」。たとえばハードブリーチングチャージやインパクトEMPなどは、それぞれThermite(テルミット)のヒートチャージやThatcher(サッチャー)のEMPグレネードの下位互換にあたる。そこで、フラググレネードも「サブガジェット」にふさわしい性能にする。
一方では、「フラグ持ちのオペレーターを増やす」という目的もある。フラグ全体の数が少ないと、フラグ持ちのオペレーターは大抵フラグしか選択しないからだ。そこで、フラグのパワーレベルを下げたうえで、フラグ持ちを増やして選択肢を広げる。これにより、創造的なプレイを促していく。
ボツになったアイデア
Y8S4に向けて発表されたバージョンに至るまで、「フラグの調整」にはさまざまなアイデアが試されてきた。同じような弱体化のアイデアを考えたプレイヤーも多いだろう。それらがなぜダメなのかという解説も兼ねている。
- 突き上げのダメージを減少
- フラグの問題点の1つが「突き上げ」
- 「突き上げ」にはスキルが必要であり、スキルの高いプレイヤーほど多くのキルを取れるのは妥当
- しかし、防衛側には抵抗手段がなく、警告も得られないままキルされるのは「強すぎる」
- そこで、「突き上げ」のダメージを減少させる、または突き上げではダメージが発生しないようにする、というアイデアを検討
- しかし、この変更では「他のサブガジェットと比べて人気が高い」点に影響がなく、「フラグ持ちを増やしたい」という方針にも合わないため、ボツ
- 1個でキルできなくする
- 「1個でキルが取れる」というフラグの破壊力に着目し、「フラグ1個の爆発ではキルできなくする」というアイデア
- しかしガジェットの個性そのものが損なわれるため、ボツ
- 1人1個に減らす
- 「1人2個持っている」という点に着目し、「フラグは1人1個にする」というアイデア
- しかし1個にしても、それは単に「突き上げに失敗したときのリトライをできなくする」という意味にしかならない
- スキルが高いプレイヤーなら、たとえ1個でも、他のサブガジェットよりもフラグを選ぶ。選択肢を増やし、創造的なプレイを促すという目的は果たせないので、ボツ
- 爆発タイマーのランダム化
- 「フラグを握って、正確なタイミングで突き上げる」というプレイができないように、握ってから爆発するまでの時間を3秒から5秒の間でランダム化してしまう、というアイデア。「突き上げ」を試みるのが危険な行為になる
- 開発側も気に入っていたが、シージではこれまでも、ランダム要素は排除するようにしてきた。よって爆発タイマーのランダム化もボツ
このようにさまざまなアイデアが試された結果、フラグは「投げて、何らかの面に当たってから2秒で爆発する」という仕組みになった。
Y8S4では、「足音やドローンを頼りに、フラグを握ってタイミング良く投げる」というスキルが無効になった。高スキル帯のプレイヤーには残念な発表だ。しかしフラグを投げやすくなったことで、どんなスキル帯のプレイヤーでもフラグ持ちをピックしやすくなるだろう。
オペレーターバランス調整
IQ
- サブガジェットにフラググレネードを追加
- 552 COMMANDOを弱体化
- ダメージを47から43に減少
- 垂直反動と水平反動を強くする
「フラグ持ちを増やす」という方針の一環として、IQ(アイキュー)がフラグを再獲得。
情報系としての側面を強めたのと引き換えに、スペック上最強アサルトライフルの1つである552 COMMANDOは弱体化。拡張バレルとのコンボを弱め、アーマー1のオペレーターを2発でダウンさせないようにした。
Lion
- サブウェポンからGONNE-6を削除
- サブガジェットにフラググレネードを追加。インパクトEMPを削除
従来のフラググレネードとEE-ONE-Dがセットになると、防衛側が動かないようにしたうえで爆破するというコンボが可能だった。新しいフラグなら、EE-ONE-D起動中にフラグを投げ込まれても、一応逃げることは可能なので問題無いという理屈だ。
フラグを取得する代わりに、用途が重なるGONNE-6は削除。インパクトEMPは、Lion(ライオン)の選択肢としては最も選ばれにくいため、フラグと交換することとなった。
Sens
- サブウェポンからGONNE-6を削除
- サブガジェットにフラググレネードを追加
ROUプロジェクターを使って防衛側の射線をブロックしつつ、フラグを使って強ポジにいる敵を強制移動させられる。まだまだピック率の低いSens(センズ)だが、ディフューザー設置を支援するオペレーターとして、今後出番が増えるだろうか。
Osa
- サブガジェットにフラグを追加。スモークグレネードを削除
Osa(オサ)のスモークグレネードはピック率15%と、最も選択されていなかった。他の盾持ちと同様、銃撃を恐れず先に進めるオペレーターだが、ガジェット破壊は他のオペレーター頼みだった。
フラググレネードを獲得したことで、自分1人でもTALON-8の設置に邪魔なガジェットを排除できるようになる。
Blackbeard
- サブガジェットにフラググレネードを追加。インパクトEMPを削除
Blackbeard(ブラックビアード)は、ヘッドショットが確定キルになるシージの世界において、ヘッドショットを狙ってくる相手に罰を与えるという特殊なデザイン。弱体化されて以降あまりにも存在感がなく、強化を望む声は絶えないが、強化するとまた問題になりかねない難しい立場にある(詳細記事)。
フラグを獲得したことで、ガジェット破壊には貢献できるようになる。果たしてこれで彼のピック率は上がるのだろうか。
なお、8月に発表されたオペレーターの調整予告では、Blackbeardにも何らかの調整がテストされているという記載があり、注目された(詳細記事)。これは結局「フラグを持たせる」という意味なのか、それとも今後さらに何かあるのか気になるところだ。
今回のデザイナーノートでは、彼への解説文が最も短かった。他のオペレーターがフラグと固有ガジェットの相性について説明されていた中、ライフルシールドの存在にすら触れられておらず、どこか素っ気ない。
「Blackbeardが、フラグを受け取る最後のオペレーターだ。ピック率が低いので、選ぶのは容易だった。クレイモアも依然として良い選択肢だ。この2つから選ぶのは容易なことではない、あるいは少なくとも、ラウンドのプレイの仕方次第であって欲しい」
Capitao
- サブガジェットにインパクトEMPを追加
フラグ持ちが増加した一方、インパクトEMP持ちが減少。これにより、CapitaoがEMPを持つことに。彼は既にハードブリーチングチャージを持っており、チームの構成に応じてどちらでも選択できる便利な立ち位置になった。
Grim
- サブガジェットにインパクトEMPを追加。ブリーチングチャージを削除
- 552 COMMANDOを弱体化(IQと同じ)
IQにフラグを持たせた余波で、Grim(グリム)の552 COMMANDOも同時に弱体化されてしまった。その埋め合わせと、EMP持ちが減った点を補う形で、彼のサブガジェットにインパクトEMPが追加された。
サブ武器のBailiffでも一応は壁破壊ができるので、インパクトEMPを持ち込みやすいオペレーターになるだろう。
Mira
- 防弾ガラスをドリル系飛翔体が貫き、うまく爆発するとガラス面が砕けるようになる
- Ash(アッシュ)のブリーチング弾はドリル飛翔体とする
- Kali(カーリー)の低速爆薬ランスはドリル飛翔体とする
- この変更はブラックミラーの他、イービルアイ、TALONシールド、防弾カメラ、展開型シールドにも適応される
イヤー6シーズン3の変更で、各種の防弾ガラスは殴って砕けるようになった。Y8S4ではこれに続いて、ガラスを砕く別の方法を導入。ブリーチング弾と低速爆薬ランスは、新たなカテゴリー「ドリル飛翔体」として定義される。
今のところ2種類しかないが、今後ドリル飛翔体を使うオペレーターが増えるのだろうか。
Maestro
- イービルアイの個数を2から3に増加
- バッテリーを5秒から6秒に増加
- オーバーヒートまでを5秒から6秒に増加
テイザーが撃てるカメラガジェット「イービルアイ」を駆使し、定点の監視と妨害を同時にこなせるMaestro(マエストロ)。しかし、これまでもValkyrie(ヴァルキリー)と一緒に「外カメラ」が不可能になったり、Miraと一緒に防弾ガラスが割られてしまう仕様になったり、果てはBrava(ブラバ)にハッキングされたりと、本人とは直接関係の無いところで少しずつ弱体化される不幸に見舞われてきた。
Y8S3時点でもピック率が最低クラスに落ちているMaestroだが、Y8S4ではさらに、ガジェット破壊用としてのフラググレネードが倍増。イービルアイがさらに使いにくくなるだろう。
そんなMaestroへの救済として、イービルアイが強化。3つに増え、テイザーを撃てる時間が長くなった。今後はオーバーヒートするまで撃ち続けると、体力1のオペレーターをキルできる。体力2と体力3のオペレーターもダウンさせられる。
実戦ではテイザーだけでキルを取るのは難しいとはいえ、「甘く見るとキルされる可能性がある」と攻撃側に警戒させられるのは頼もしい。熟練のMaestro使いはぜひ、3つのカメラを巧みに操作して欲しい。
マッププールへの変更
クイックマッチ2.0の導入で、ゲームモードは「クイックマッチ」、「スタンダード」、「ランクマッチ」として編成し直された。
これら3つのモードはマッププールが別々だったが、Y8S4ではマッププールを見直すのと同時に、「スタンダード」と「ランクマッチ」のマッププールが同じになる。Y8S3では行方不明になっていた「ヘレフォード基地」も、クイックマッチ用マップとして復帰する。
「クイックマッチ」については、なるべく早くすべてのマップをマッププールに入れるよう努めていくとのこと。恐らく防衛側のプリ・セットアップの設定作業と関係しているのだろう。「スタンダード」のマッププールについても、今後も都度見直して選択肢を増やしていく方針だ。
- クイックマッチに追加:
- ヘレフォード基地
- 飛行機
- 大統領専用機(※恐らく上と同じマップだが原文ママ)
- ヨット
- 要塞
- エメラルドプレーンズ
- スタジアム
- ナイトヘイヴンラボ
- アジト
- スタンダードとランクのマッププール:
- オレゴン
- クラブハウス
- 領事館
- 銀行
- 運河
- 山荘
- カフェ・ドストエフスキー
- 国境
- 高層ビル
- 海岸線
- テーマパーク
- ヴィラ
- アウトバック
- エメラルドプレーンズ
- ナイトヘイヴンラボ
- アジト
Y8S4「オペレーション・ディープフリーズ」は現地時間11月28日スタート。PC版プレイヤーに向けて、現在はテストサーバーが開放されている。新オペレーターTubarao(トゥバラオ)や新マップ「アジト」に加え、今回のオペレーター調整によってどのような対戦環境になるのか楽しみなところだ。
Source: R6S Official
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コメント
コメント一覧 (20件)
そういやアンランクのマップ元に戻るんだねよかった
そりゃ...投げ物アンチのピック率が上がるんだろうな
フラグやニトロの話よりも、ミラ窓遠隔破壊の方が気になる。
銀行地下、オレゴン地下、ヴィラ飛行展示&娯楽とかのmiraで守るのが前提と言っても過言ではない目標とかどうなんの?
フラグ持てるキャラが少な過ぎて
フラグが選択肢にあるキャラ=フラグでほぼ固定されてた所が改善されると思えば
こういう案を考えたけどデメリットもありましたって試行錯誤見せてくれるのはありがたいな。
同接4-6万いるのにオワコンはないだろ
もっと勢いあるゲームはもちろん無数にあるけどさすがにオワコンって言われるほどじゃないわ
んー…イーヴィルアイ1個追加が、フラグ持ち増加に対しての救済措置となるか、Bravaの需要を更に上げるだけになるのか。
こういうふうにやれトムクランシーがとかほざくやつおるけどそれはオメーが決めることじゃねーよ
それにトム爺はゲーム大好きだからゲーム化の権利をUBIに売ったわけだし、下手にリアルがだの何だのでゲーム性損なう方がよっぽど失礼だわ
飛行機とかのカジュアルマップを封印してくれないかなと思う。
初心者に避けられがちな覚えること多い理由の一つで、マップ数が多すぎるという点にあるよね。
それに何年やっても飛行機周辺にいるKALIが窓に向かって一方的に撃ってくるゲームの面白さを理解できない。
> フラグ(持ってても一生爆発しない)
> それもうフラグじゃないから
むしろ今までの方がスーパー謎ガジェットで今回の改修後の方が現実的な挙動だぞ。
今まではピン抜いて信管作動(レバー外れてる)してるのに何故か仕舞ってタイマーリセット出来たのが謎すぎた。
今回のでやっと投げるタイミングでレバー外して信管作動、ぶつかって衝撃があった場合はイングレと同じ様な第二信管側が有効になって2秒で爆発と考えられるし。
個人的には改修後仕様+レバー外して旧仕様投げ(ただし仕舞い直せない)も可能 とかでもバランス取れる気がするけどなー。
どちらかというと、Rainbow Sixの名を持ってるのについにテロリストハントが消えたのが腑に落ちない(既に名前変わってはいたけど)
もう故Tom Clancy氏への敬意とかリスペクトが感じられるものの方が少なくなってきたように感じるわ・・・