9月20日、『Call of Duty: Infinite Warfare(コールオブデューティ: インフィニット・ウォーフェア)』の戦艦“レトリビューション”仕様に作り変えられたYouTube Space Tokyoにて、Infinity WardのナラティブディレクターTaylor Kurosaki氏とActivisionのPRマネージャーTegan Knight氏へ、本作に関するインタビューをさせていただくことが出来ました。
お披露目当初に受けてしまった低評価に対する思いや、『Modern Warfare』シリーズの遺伝子を受け継ぎつつもハードコアな宇宙の軍隊を描くというキャンペーンについて、Infinity Wardに熱く語っていただきました(以下敬称略)。
Call of Duty: Infinite Warfare インタビュー
はじめましてEAAと申します。今回は読者さんからも質問を募集しているので既出の質問もあると思いますが、改めてよろしくお願いします。
Taylor氏: もちろん問題ありません。全力でお答えします!
まずは軽いですがちょっと気になっている事があります。私の周りでは『Call of Duty: Infinite Warfare』を発音する際に「シー・オー・ディー」とか、「インフィニット・ウォーフェア」、「インフィ」、「アイ・ダブリュー」など呼び方がバラバラで少し困ってます。デベロッパーの皆さん自身は本作をなんと呼んでいますか?
Taylor: まず、「Infinity Ward(スタジオ)」のことは「アイ・ダブリュー(IW)」と呼んでいますね。そして『Call of Duty: Infinite Warfare』については「アイ・ダブリュー・セブン(IW7)」と呼んでいます。その理由は、本作がInfinity Wardの7作目であるからです。
IW7はコード名でもありますし、PCでのディレクトリ名は「IW7」になってます。例えば『CoD:Ghosts』は「IW6」になっています。
興味深い話を聞けました。タイトル名とスタジオ名の略称が同じ「IW」ですが、これには何か本作への決意を込めたような意図がありますか?それとも偶然ですか?
Taylor: タイトル名に関しては、これまでずっとファンたちが集う場所の名称として「Warfare」をずっとつけてきたので、まず「Warfare」を使うのは決定です。残る「Infinite」には様々な意味合いはあるものの、1つ明確な意志として「無限の宇宙」に出るという「Infinite Space」の意味合いです。ここから「Infinite」に決定しました。
「宇宙」と言ってしまうとそちらがフィーチャーされるので、よりクールでアーティスティックな言い方として「Infinite」と名称をつけました。すると偶然スタジオ名と略称が同じになったのです。
最も重要なポイントは「戦争の話」であることを、メディアやテレビ、本、雑誌などへ掲載された時に、明確に、一瞬で分かってもらわなければなりません。「Warfare」にしっかり象徴されるようにこの話は人間の人間同士の話であって、戦争の話であることをしっかり伝えるために「Space」ではないということです。
(※ Activisionは、所有していた商標『Call of Duty: Space Warfare(スペース・ウォーフェア)』を2013年に放棄している)
IWの前作は『CoD:Ghosts』ですが、今作は『Ghosts 2』ではない完全新作になりました。聞きにくい質問ですがズバリ『Ghosts』の評価は関係していますか?(※ ご存知のように、あまり高くなかった)
Taylor: 私個人としては『Ghosts』の後にスタジオへ参加したため、続編を作るか否かの判断には関わってはいません。ただ1つ分かることとして、『CoD』シリーズのナラティブ(ストーリー)は、スタジオとして最も注力していかなくてならないという判断はありました。そこで私が参加することとなったのです。(※ Taylor氏はNaughty Dog所属で10年に渡りナラティブを担当していた)
これに関して1点、強く言えるのは、新しいストーリーの『CoD』を目指していくことに関して、スタジオのすべてのスタッフが一丸となり、全力で進める必要があることを(社内で)共有しています。
何故かと言うと、「地球に縛られたまま」のゲーム性だとゲームループが限られてしまいます。宇宙に飛び出すことによって、『CoD』におけるゲームプレイのループをより拡大していくことができると確信しています。(※ 1Gから0Gでの戦闘や、多種多様な移動方法でゲームプレイが立体的になった)
発表時のトレーラーは評価が高くありませんでした(関連記事)。悪ふざけもあったとは思いますが、あの時はデベロッパー側としてどう感じましたか?最新のトレーラーなどで徐々にポジティブな評価に変わってきていると感じますが、そのあたりも含めてお願いします。
Taylor: そうですね。まず初めに我々はこのゲームを作るにあたって、とても強いパッション(情熱)を持って作っています。トレーラーで混在した評価が得られたことに関しては、「より強いパッションを持って答えていくしかない」と考えました。
これは新しい『CoD』なのです。手にとってもらえれば絶対わかってもらえると信じながら、ずっと制作を続けています。
Infinity Wardは『CoD』シリーズを産みだしたデベロッパーでもあリます。IW自身が革新性を持って再発明(Re-invention)を実行し、革新性を持ってもう一度チャレンジしていきます。もちろん我々自身も強烈な『CoD』ファンなので、我々の中にも矛盾がありました。
我々は『Modern Warfare』シリーズに対して非常に強い信念があり、『CoD』シリーズを『CoD:MW3』の高みまで持っていきました。今回も同じパッションを持って『CoD:IW』を作っています。我々自身も強いファンなので、プレイヤーとしてのファンが『Modern Warfare』を守りたいという心情もよく理解しています。だからたくさんの意見をおっしゃっていただいて、ファン自身もオーナチックを感じていただいている。大切なものだから意見をくれる。そこを完全に理解した上で今回の挑戦に挑んでいます。
新しいストーリートレーラーでポジティブな反応が出てきて、ようやく少し報われました。答えが長くなって申し訳ないです(笑)
いえいえ(笑)ストーリートレーラーはとてもクールでした。日本でも評判は良いようです。
Taylor: Great. Thank you. アリガトウゴザイマス(日本語)。
聞き難い質問ですが、Respawn Entertainmentが“これは Modern Warfareだ”というコメントしました(詳細記事)。これについて一言いただけますか?
Taylor: (笑)それはやはり定義によりますよね。私個人の定義としては、今度リリースされる『CoD:MW』リマスターが真のModern Warfareだと思います。その辺りの定義は人によって異なりますもんね。
マルチプレイヤーでは「クラシック武器(関連記事)」が登場することが発表されましたが、具体的な武器名をいくつか教えてくれますか?
Taylor: Oh...(笑)うーん。わたしはナラティブ・ディレクターなのでクラシック武器のことはちょっと(笑)。一番のお気に入りはM870-Cブッチャーショットガンですね。
(※ このあと、マルチプレイヤーとゾンビに関しては、メールでの質問で回答いただけるとのありがたい提案をいただけました。いただき次第すぐに公開します。)
追記:公開しました
今回悪役としてキット・ハリントン氏が登場します。ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のジョン・スノウ役を思い出しますが、彼を採用した意図は?ドラマでもゲームでも目の位置に傷がありますが、何か意図的な仕掛けですか?
Taylor: 今回キット氏を起用したのは、もちろん「ゲーム・オブ・スローンズ」で活躍されてたこともあります。特徴的なのは、普段はヒーローサイドを演じられている役者さんが、敵役で登場することです。これはとても挑戦的で、キット氏には非常に喜んで演じてもらっています。
目の傷の件ですが、「ゲーム・オブ・スローンズ」で傷がある理由は把握していません。詳しくは言えませんがうっすらと明かします。彼はSDFの組織の中でもとても若いにも関わらず、アドミラル(提督)という高職を手に入れています。急速に職位が上がっていく過程において、何かがあったのかもしれませんね。
楽しみです。日本でも「彼が出るなら買うよ」って人も見かけました。
Taylor: いいですね。彼は間違いなくゲームに登場しますよ!
一同: (笑)
舞台設定の年代(西暦)は公式には特に定めていないと聞いていますが、敵役のSDFの規模はどの程度でしょうか?「国家 vs 小規模テロリスト(SDF)にも見え、サイズ感がいまいち伝わらない」との意見もありました。
Taylor: SDFは戦艦や軍隊を抱えているレベルのため相当に大規模な組織で、サイズ感でいうとUNSAと同じレベルです。ただUNSA側がジェノヴァでの奇襲攻撃を受けたことによって、UNSAには戦艦が2隻しか残っていません。そのような(過酷な)環境下で対抗していかなければならないのです。奇襲を受けていなければ、対等な戦いができたはずでした。
Taylor: SDFはもうすでに文明を確立しています。その勢力下で人々が普通に生活し、社会として成立しているほどの規模です。ここまで巨大になるには膨大な時間がかかりますが、それが可能になるほどの時間、そして地球との物理的距離は充分にあったと考えてください。
成長を許してしまったということですね。
Taylor: 現代の現実世界の国連でも、彼らは「反対の表明」は行いますが、実際にアクションを起こさないことも多い。行動しないことによって悪の目を芽生えさせてしまい、より成長・助長させてしまう。
初期段階できちんと対応していればここまでの脅威にはならなかったかもしれない。しかし、もうすでにコントロールできるサイズや状態ではなく、奇襲攻撃をも許してしまったのです。
よく分かりました。設定がぐっと未来かつ壮大になったことで、現代戦と大きくかけ離れ「イメージが掴みにくい」との意見もあります。今回のストーリートレーラーでも世界観は伝わりましたが、ユーザーをストーリーに引き込むための工夫を教えてください。
Taylor: 『CoD』というゲーム自体は長年みなさん遊んでこられていますが、これまでは新米の兵士としてプレイしてもらっていました。例えばプライス大尉のように指示を出す人々がいて、それを受けることでゲームを進行していました。「俺について来い!」、「そこから離れろ!」、「さあドアを開けろ!」、「ここを進め!」といった風にですね。
今作の我々の意図は「noobie(新兵)のブーツを履く」のではなく、「キャプテンについていく」のでもなく、あなたがプライス大尉になり、あなたがリーダーになってほしいのです。
分かりやすい説明です。
Taylor: 実際にプライスが出るわけではありませんよ(笑)
理解しています(笑)
Taylor: 例えばスパルタの時代から、いつの時代も戦争の物語は伝わっています。兵士の視点で言えば「No Man Left Behind(ベトナム戦争中に捕虜となった米パイロットの脱獄劇を描いたTV番組)」を初め、「全員が一致団結して戦闘に向い、隣りにいるやつのために戦う」といったシチュエーションでの戦争です。
今回は(それらの物語とは違い)自分自身がリーダーとなり、「決定したミッションの責任を負う」ことを意識してほしいのです。
そこが今回のストーリーの肝であり、チャレンジでもあります。一兵卒として隣りにいる人のために戦うというよりも、まず先にミッションが降りてきて、それを背負い、自分が下した判断とその結果、責任さえも受け入れ、それでも前へ進んで行かなくてはならない。その責任感を今回は表現したいのです。
(※ ここでラスト1問に)
日本でも、徐々にポジティブな意見が増えてきてますが、まだ迷っているといるファンも多いように思えます。そんなCoDファンに最後の一撃、とどめの一撃となる言葉をお願いします。
Taylor: Infinity Wardは長らく『CoD』を制作してきましたが、最も世界で信頼されている最高峰のスタジオであると思っています。我々こそが「CoDとは何か」を最も理解し、「CoDをどう作るか」を最も理解しています。
だからこそ『CoD』に実際に手に触れたときに、『CoD』でしか味わえない「秘密のエッセンス」。それを『CoD:IW』でもしっかりと踏襲してゲームを制作しています。
それは従来の地上戦だけでなく、コントローラーを持ったときの「秘密のエッセンス」、すなわちフィーリングを、コックピットに乗り込んで戦う戦闘機でも同じ感覚で遊べるようになっています。無重力下の戦闘においてもそのフィーリングで『CoD』が楽しめます。(※ 戦闘機ジャッカルの操作方法はマルチとほぼ同じで、違和感なくスムーズにプレイできます)
何らかの要素が新しく追加されると、代わりに何かを抜き取ってしまったという印象を持ってしまうかもしれませんが、そうではなくて追加の上にさらに追加していった。こういった解釈でゲームを観てほしいし、楽しんでいただきたいのです。
Taylor: もうひとつもう1つ強調させてください。『CoD』は「ソルジャーファンタジー」なのです。小さい頃に庭で兵隊ごっこをして遊んでいましたが、『CoD』が象徴するのはそこなのです。『CoD:IW』では兵卒としてのソルジャーファンタジーだけではなく、コマンダー(指揮官)としてのソルジャーファンタジーも楽しんでいただくことが出来ます。
わかりました、ありがとうございました!
Tegan Knight氏: 最後に日本のみなさんへお伝えしたい事があります。今回は字幕と音声でしっかりと、完全に日本向けにローカライズされていることです。特典も大ボリュームで、『CoD:IW』はもちろん、『CoD:MWR』やVRの『ジャッカル』、また10月15日から始まるベータが遊べるので、こちらもぜひ楽しんでいただきたいです!
日本でもベータ開催確定ですね。ありがとうございました!
さすがは敏腕PRマネージャー。最後にきっちりと日本語版の魅力をアピールしてくれました。そんな彼らのパッションの結晶、『CoD:IW』の発売日は2016年11月4日。対応機種はPS4、Xbox One、PC。通常版以外のデラックス版にはキャンペーンとマルチプレイヤーを搭載した『CoD:MW』のリマスター版が同梱されます。
おまけ:CoD:IW仕様になったYouTube Space Tokyo
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コメント
コメント一覧 (29件)
なんやかんやで楽しみだよなw
早く遊びたい
もうかなり楽しみだわ
期待しかないよ
IW7楽しみにしてます!
庭で兵隊ごっこか
わかる
そんな気分でいつもキャンペーンやってるわ
だからCall of Dutyのキャンペーンは何回もやりたくなるんだよな
特にMWシリーズの時はそうだった
何回プライスの顔を見たか(笑)
何回M4で撃ちまくったか(笑)
今回もそんなキャンペーンになっている事を楽しみにしてます^_^
「今回は字幕と音声でしっかりと、完全に日本向けにローカライズされている」
これって今までとどう変わるんです?まさかPC版でも吹き替え版がプレイできるとか?
おそらくCS版だけかと
Steamのページには吹き替えのところにチェックが入っていない
今までと同じじゃないですかー!
まあ、今まで以上に日本のファンに馴染みやすいローカライズになってるってことでしょうね。昔は「動力を止めろ」なんてのもありましたし
MW2(日本版)「おっそうだな」
そうだよな、制作側も頑張って作ってるんだよなぁ
なんだか、IWとかおまけだからwって言えなくなっちまった。
βも楽しみにしてます。
正直めちゃくちゃ楽しみ
このインタビューも分かりやすいし、10月15日のベータはもっと楽しみ。
今回のインタビューでより一層楽しみになったわ
国内β開催は素直に嬉しいな
後はβの詳細がしりたいな
あ、βやるんすね
制作側の情熱がしっかり伝わったわ!
最初から俺は楽しみだったけどもっと期待しちゃうぜ!!
制作側はプレイヤーに何を伝えたいか良くわかるいい回答だった 楽しみに待たせてもらおう