Ubisoft(ユービーアイソフト)が手がける『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』eスポーツ競技シーンでは、日本国内リーグ「BLAST R6 JAPAN LEAGUE 2024」ステージ1 LCQが完結。
8チームによるダブルエリミネーションを行い、決勝ではKINOTROPE gamingとCAG Osakaが対戦。3マップに渡る激闘を経てCAGが勝利をおさめ、5月にイギリス・マンチェスターで開催される世界大会への出場を決めた。
『R6S』プロリーグ「RJL 2024」ステージ1 LCQ結果
「BLAST R6 Japan League 2024(以下、RJL 2024)」では、4月19日から21日にかけてプロ8チームによる「Last Chance Qualifiers(LCQ、最終予選)」が開催された。
先日のプレイオフで優勝したSCARZに続き、このLCQで優勝した1チームが、5月に開催される「BLAST R6 Major Manchester 2024(マンチェスターメジャー)」にフェーズ1から出場するという流れ。
LCQ開幕、KINOTROPEの長い一日
8チームが最後のメジャー枠をかけて激突するLCQで、ウィナーズブラケットを快調に勝ち上がったのはCAGだった。初戦のCrest Gaming Lstとの試合はフルラウンドにもつれる大混戦だったが、その後KINOTROPEとVITEを撃破し、一足先にファイナルへ。メジャーまであと1勝という地点にやって来た。
一方で、困難な道のりを歩んだのは対戦相手のKINOTROPE。LCQ DAY3は21日の午後3時半から始まったが、KINOTROPEはまずIGZISTと3マップにもつれる大激闘を演じ、直後にVITEとも3マップを戦い抜いた。そして、最も重要となるCAGとのBO3ファイナルでは既に午後10時をまわり、彼らにとって非常に長い一日となった。
結果は2-1でCAGの勝利。このファイナルも3マップすべてを消化する展開となり、日をまたいで深夜1時ごろまで続いた。
敗れたKINOTROPEは、元VARRELロースターを主軸に、選手の補強を行って「RJL 2024」に乗り込んだ新チーム。相手の心理を攻撃する独特のシージに、新加入のmaou選手やYuKiz選手による個人技の強さも合わさったことでさらにレベルアップした。序盤のリスキーなしかけや、終盤の少人数戦におけるクオリティなど、さまざまな局面で観客を惹きつける個性的なチームとなった。
メジャーに向かうSCARZとCAG以外のチームは、これでステージ1は終了となる。しかし今ステージではKINOTROPEの洗練、新加入チームVITEの躍進、父ノ背中のリーグ復活など、他のチームにも多くの見所があった。短期決戦ながらもステージ2が早くも楽しみになる、充実の1ヵ月だった。
CAG、「落ち着き」を会得しメジャー再挑戦
LCQ決勝戦。CAG Osakaは、2度のBO3を経たKINOTROPEに対してコンディション面で優位。しかし、チーム内には大きな課題があった。
3月30日のグループステージDAY5では、父ノ背中を相手に0-4とリードしながら7-4と大逆転敗北を喫した出来事が記憶に新しい。逆に翌DAY6ではIGZISTを7-0で粉砕するなど、ここ数試合のCAGの試合運びは安定しないものだった。さらに、プレイオフでは初戦でIGZISTに倒され、LCQに回っている。
CAG vs KINOTROPEの第1マップは「オレゴン」。防衛から入ったCAGは堅実な守りで序盤を3-1とし、KINOTROPEにタイムアウトを取らせる。しかしKINOTROPEも試合の入り方は良く、ここまでBO3を2度やってきたことで試合勘も冴えていた。
KINOTROPEは3ラウンド連敗して4-5と逆転。さらにOkOmEsH選手による、意外なところまで展開する独特の立ち回りにも翻弄され、4-6で逆転マッチポイントを許してしまう。
CAGは、深夜に入ってなおパフォーマンスを上げ続けるKINOTROPEを捉えきれず、結局4-7で第1マップを落としてしまう。
しかし第2マップ「国境」で、CAGは互いに声をかけ合いながら冷静さを取り戻していった。引き続きKINOTROPEが際どい場面を制しつつ1-2でリードする序盤だったが、ガンスキルに秀でるChibisu選手の活躍もあって、4-2でリードして攻防交代に成功。攻撃にまわったKINOTROPEを冷静に押さえ込み、気が付くと7-2の大差で「国境」を制した。
ディサイダーマップの「高層ビル」も激戦となった。防衛から入ったCAGは、Lesion(リージョン)などテンポコントロールができる罠系オペレーターを有効活用。KINOTROPEメンバーが踏み込むタイミングを妨害しつつ、序盤を2-0でリードする。KINOTROPも返しの一手としてBlitz(ブリッツ)を軸にした素早い現地攻めを駆使し、2-2。ガジェットバトルが一巡したところで、CAGはタイムアウトを取って調整を図る。
第5ラウンドでは改めてChibisu選手の個人技が冴え渡り、3-2。さらにCAGは重要な補強壁をガジェットによって守る作戦を取り、一連の読み合いを制して4-2での攻防交代に成功した。
第7ラウンドでは、BlackRay選手が設置後の1v2の駆け引きを制して5-2。さらにShuReap選手も個人技で魅せ、6-3と先にマッチポイントを獲得すると、最後はパーフェクトラウンドで7-3と勝利。BO3の戦いを制したCAGが、マンチェスターメジャー・フェーズ1からの出場を決めた。
まだチーム名が「CYCLOPS athlete gaming」だった頃は、アジア勢らしい積極果敢な撃ち合いを演じる姿が目立っていたCAG。しかし今季はガンスキルに優れた選手たちを擁しつつも、SuzuC氏が新加入のDD氏とともにコーチに転向。これにより、撃ち合いと読み合いの両面で以前よりも深いチームになった印象だ。(チーム内比較で)若手の選手たちも、着実に経験を積みながらプロらしい落ち着きを会得しつつある。
ゲーム内の「イヤー9」アップデートにより、ガンファイトのあり方そのものに開発サイドから釘を刺された現環境。しかしそれを踏まえても、CAGにとって今回のメジャー出場は目覚ましい成果と言える。長らく日本シージ界をけん引している彼らCAGが、マンチェスターで世界にリベンジを果たす姿に注目しよう。
マンチェスターメジャーいよいよ5月16日開催
ステージ1の世界大会・マンチェスターメジャーこと「BLAST R6 Major Manchester 2024」はいよいよ現地時間5月16日スタート。
記事執筆時点で出場チームはすべては確定していないものの、伝説の元W7Mロースター擁するブラジルのFURIA。メジャー初登場の北米チームBeastcoast。Fabianコーチとパリ・サンジェルマンを迎えた韓国のPSG Talonなど、今回のメジャーにもドラマの主役を張れそうなチームが続々と集まっている。
日本としては、歴代最高記録である「世界ベスト4」更新が中長期的な目標。とはいえ過去数年と同じく「世界にどこまで通用するか」をめぐって再度チャレンジしていく形になるだろう。2024年こそ日本のシージが、北米・欧州・ブラジルの3大メジャーリージョンに比肩することを示したい。
イギリスの現地時間は日本時間+8時間であるため、丸半日の時差があったブラジル・インビテーショナルよりも観戦しやすい配信スケジュールになることが期待される。マンチェスターメジャーの詳しい情報については、引き続きシージ日本公式Xアカウントなどをチェックしておこう。
- 「RJL 2024」関連記事:
- タイトル:Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)
- 発売日:2015年12月10日
- 対象機種:PS5, PS4, Xbox Series X|S, Xbox One, PC(Steam)
Source: YouTube
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