『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』の海外コミュニティにて「チーターの悪行」が原因で、海外選手と開発スタッフによる言い合いが生じ、企業側にとってのアンチチートの難しさを感じさせる一幕が見られました。
APEXのチーターを巡って選手と開発者が言い合いに…
きっかけとなったのは、FURIAのHisWattson選手による7月21日のツイート。先日の世界大会ALGSチャンピオンシップでは準優勝、個人でも「Monster Energy MVP」を受賞した世界的トッププレイヤーですが、配信中に遭遇し続けるチーターに耐えかねたのか、次のように述べていました。
「親愛なるエーペックスのチーターへ。EST(米国東部標準時)の午前1時から7時の北米サーバーでなら、BANされる可能性がやや低くなってるよ。BANチームは起きてないからね。これを一般に知らせることで、EAがチーターに対して何かをして欲しいと願っているよ」
このツイートをFull Squad GamingのJake Luckyがスクショで引用し、「エーペックスのチーターはひどい。RespawnやEAの反応を得るために、プロがチーターに、何時にチートするのがベストなのか教えてるほどだよ。IQレベルが違うワットソンのプレイだね」と冷ややかなコメント。
このJakeのツイートに反応したのが、エーペックスのネットワークセキュリティ部門を担当し、チーターの通報窓口としても知られているHideoutsことConor Ford氏。午前1時から7時まではアンチチートの業務対応ができないというのは事実だったのか、「これは本当にドン引きだよ」と返したことで、HisWattson選手との言い合いに発展してしまいました。
「チーターに気付かれるかもしれないから情報共有しない」
HisWattson「そうだな。本当にドン引きなのは、あんたら(アンチチートのスタッフ)がベッドから起きようと決めるまでに、こっちの配信ではみんな最初の3時間のうちに、先撃ちされたりエイムボットの被害に遭ったりしなくちゃならないことだよ」
Hideouts「いいや、本当にドン引きなのは、アンチチートの改善のために何の仕事もしていないなんて思い込みに過ぎないこと。『あんたらがベッドから起きようと決めるまでに』なんて言ってますが、子供じみたコメントで余計なお世話。なぜこちらから実装に向けてどんな作業をしているのか発表を? チーターに気付かれるために?」
HisWattson「『アンチチートの改善のために何の仕事もしてないのは思い込み』なんてあり得ない。あんたに仕事があるのは、アンチチートを修復する気がないからだ」
情報開示するリスク
本来は対チーターで協力し合うべきプレイヤーと開発スタッフが、チーターのせいで言い合いになってしまうという不幸な一場面でしたが、Hideoutsをはじめアンチチートスタッフが、チーター(とツール業者)に自分たちの動きを知られることを避けるのは当たり前の事実でしょう。ただし詳細は開示せずとも、何らかの方法で対策を進めていることを発表する方法はあるはずで、HisWattsonはこのことに苛立ちを覚えているのかもしれません。
プレイヤー視点では、「健全なプレイヤー(自分)」と「チーター」と「開発者」ははっきりと分かれているため、アンチチートに関して情報共有してもらえないのは開発者の怠慢に見えますが、一方で開発者の視点では「健全なプレイヤー」と「チーター」は混ざり合っているため、健全なプレイヤーを安心させるつもりでアンチチートについての詳細や今後の予定を発表したものの、チーターとその背後にいるツール業者にも手の内を読まれたり、得たヒントから回避策を開発されてしまう恐れがあります。パッチノートのように、全プレイヤーに情報共有をするのは抜け穴を教えるようなものです。
今回のHideoutsの口ぶりは、開発スタッフもアンチチートの改善に取り組んでいるものの、プレイヤー全体に向けては成果を発表できないという、ある種のもどかしさを感じさせるものでした。
チーター戦争:Activisionの場合
アンチチートについては、他のタイトルもそれぞれ独自の手法で取り組んでいます。たとえばActivisionとその傘下スタジオが手がける「コール オブ デューティ」シリーズでは、SNSや公式サイトを通じてBANウェーブを実施したことを発表したり、これまでBANしたアカウント数を報告したり、フランチャイズ共通のアンチチートシステムである「RICOCHET(リコシェ)」の新機能を公表したりと、プレイヤーだけでなくチーターに対しても威武を示す構図になっています。EAおよびRespawnとは正反対ですが、むしろCoDシリーズは例外的に、他と比べても情報発信が積極的と言えます。
チーター戦争:Ubisoftの場合
Ubisoftの『レインボーシックス シージ』でも、「アンチチートアップデート」というレポートを不定期に公開しており、チーターへの不満を訴えるプレイヤーとのコミュニケーションを図っているほか(6月のレポート)、DDoS業者に訴訟を起こすという実際的な行動も報じられました。しかしこちらもチーターの撲滅には至っておらず、むしろチーターが以前より増えている可能性がTwitterやRedditで指摘されており(Redditからの一例)昨今の懸念事項となっています。
チーター戦争:Riot Gamesの場合
カーネルレベルに常駐するアンチチートとして、ライアットゲームズの「Riot Vanguard(ライアットヴァンガード)」はリリース当時から注目を集めているソフトウェアです。そのライアットが手がける『VALORANT』では、21年10月時点でチーターの報告率がこれまでで最も低くなっていると公表しており、SNSでは今もチーターとの遭遇事例が散発的に目につくものの、長期的に見たときの成功例になる得る可能性を示しています。
チーター戦争:Epic Gamesの場合
昨今の新しい動きとしては、Epic Gamesの『フォートナイト』に最新のアンチチート用ソフトウェア「HYPERION(ハイペリオン)」が実装されたことが報じられました。しかしチート業者の目を意識してか、公式サイトではこれについて発表をしておらず、アンチチートをめぐる事情の複雑さが察せられます。
Epic Gamesと同様に、エーペックスのアンチチートについては、プレイヤーとの情報共有は積極的には行なわない方針であることがうかがえます。アンチチートが進化しているのか否かは、Hideoutsが仄めかしているようにチーター側との情報戦が絡んでいるため、一般プレイヤーはRespawnを信じるしかないのが現状です。
今回は不幸な言い合いに発展してしまいましたが、悪いのはチーターと販売業者であることを忘れてはいけません。彼らの舞台裏での働きにより、いつかランクマッチでチーターを見かけなくなったことに、ふと気が付くような日は訪れるのでしょうか。
- タイトル:Apex Legends(エーペックスレジェンズ)
- 配信日:2019年2月5日
- 対象機種:PS4, PS5 / PC (Origin, Steam) / X1, Xbox X | S / Switch
Source: Twitter
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コメント
コメント一覧 (30件)
apexのこのアンチチートスタッフの頭が悪いところは特定の時間はチート対策班が不在と指摘されて「休むなというのか?」とキレるところ
誰がそんなこと言ったよ人増やせばいいだろバカが
オフィスが複数の国にあるなら夜働かなくても良いローテ組めるだろうに誰もそういう頭すら回らないんだから終わってる
無ければ委託なり提携先に部門置くでも良いわけで
開発も出来ない、工夫も出来ないとかなんのために仕事してんだこいつら
向いてないから今すぐ辞めろ
「コードを書いたことのない一般人は、アンチチート開発の大変さが分からないから言いたい放題。」
↑
ヒュ〜かっけぇ〜〜!!! プログラムかじってる俺は「一般人」なお前らとは違って苦労が分かるぜぇ〜〜!!
きっと上司に詰められるたびに
「でもがん゛ば゛り゛ま゛し゛た゛ 大゛変゛でし゛だ」って努力を訴えてるんだろうなあ!
いいなあ努力で結果が全肯定されるお仕事!!
なんでだろう、EPICの場合、頑張れば頑張るほどむしろどんどん情報抜かれてる気がして怖いw
プレイヤー視点では、「健全なプレイヤー(自分)」と「チーター」と「開発者」ではなくここに「カスタムでしか物事を語らない一部のプロ」が必要