Microsoftが『コール オブ デューティ』シリーズを手がけるActivision Blizzardの買収を発表後、ゲーム業界の独占を引き起こす可能性をめぐって各国の規制当局で調査が行われてきました。
日本時間3月24日、英国の規制当局であるCMAは暫定判断を示し、買収はゲーム業界の「競争を著しく阻害しない」とコメント。最終判断は4月末になるものの、Microsoftにとっては買収完了に向けた重要な一歩となりました。
英規制当局が暫定判断、競争阻害の懸念が和らぐ
Bloombergが報じたところによると、英国の規制当局である競争・市場庁(CMA)は新たなに提供された追加証拠を検討した結果、MicrosoftによるActivisionの買収は「英国でのコンソールゲームの競争を著しく後退させることにはならない」という暫定的に結論付けました。
現地時間3月24日付けのCMAによるプレスリリースによると、調査を依頼された独立の専門家機関議長であるMartin Coleman氏は、買収に関して以下のようにコメントをしています。
「提供された新たな証拠を勘案し、MicrosoftがPlayStationから『コール オブ デューティ』を発売しないことによるコストは、発売しないことによるコストを上回るため、本合併はコンソールゲームサービスにおける競争の著しい後退には至らないと暫定的に結論づけました」
なお、前述したようにCMAの本日の暫定調査結果の追記は、ゲーム機の供給における競争に関するものであり、クラウドゲームサービスの供給における競争に関するものではありません。CMAの合併調査は引き続き行われ、2023年4月26日までに最終報告書を発行する予定です。
過去数ヵ月の契約が奏功か
最大の争点である競争阻害の懸念を和らげるようなコメントが英国当局から得られたことは、Microsoftにとっては買収完了に向けた重要な進展と言えるでしょう。
Microsoftは過去数ヵ月にわたって、任天堂やNVIDIA、ウクライナのクラウドゲーミングプラットフォーマーBoosteroidと契約を交わし、買収完了後はより多くのプレイヤーが『コール オブ デューティ』シリーズにアクセスできるようになる点を強調してきました。今回の暫定判断は、こうしたMicrosoft側の働きが報われた形なのかもしれません。
市場の期待が最高潮に高まる
報道を受けActivision Blizzardの株価は急伸。年初来高値を更新する84.39ドル(前日比+5.91%)をつけました。
現地時間24日の市場は、米国シリコンバレー銀行の破綻に端を発する金融不安がドイツ銀行にまで波及する恐れから、ナスダック総合指数も前日比+0.31%と軟調に推移しました。一方でActivisionは終値ベースで、買収発表時の2022年1月18日につけた81.35ドルを上回ることに成功。暫定判断ながら、買収完了の道筋が見えたことで投資家からの期待が高まったことがうかがえます。
2022年1月から続くMicrosoftによるActivision買収はこの後、春先から夏にかけて各国の規制当局が重要な判断を下す予定です。今回のCMAの暫定判断は、4月末の最終判断、そしてとりわけ重要である米国FTCによる訴訟にもどのような影響を与えるのか、引き続き注目していきましょう。
MicrosoftによるActivision買収の流れ
- 2022年
- 2023年
- 1月:GoogleとNVIDIAが買収に懸念
- 2月:MicrosoftがNVIDIAとの新たな契約
- 3月:ソニーに対し、10年間のCoDライセンス契約を提案
- 3月:MicrosoftがクラウドゲーミングプラットフォームBoosteroidと10年間の契約(現在)
- 3月:英国CMAが暫定判断、買収は「競争を著しく後退させない」(現在)
- 3月末:欧州委員会による結論(予定)
- 4月末:英国CMAによる最終判断(予定)
- 8月:米国FTCによるヒアリング(予定)
- タイトル:Call of Duty: Modern Warfare ll(コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア Ⅱ)
- 発売日:2022年10月28日
- 対象機種:PS5/PS4, Xbox X|S/Xbox One, PC(Battle.net / Steam)
Source: CMA
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