Ubisoft(ユービーアイソフト)の『Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』には特徴的なシステムが多数あり、「ヘッドショットを命中させれば確定キルになる」のもその1つ。
しかし昨今海外コミュニティでは、これを見直すべきという議論が巻き起こっている。ヘッドショット確定キルの何が問題なのか。そして、変更することでどんな影響が見込まれるのだろうか。
『R6S』ヘッドショット確定キル議論
『レインボーシックス シージ』のコンテンツクリエーターであるMacie Jayは、シージの「ヘッドショットを当てれば確定キルになる」点への変更を提案。Redditなどのコミュニティで、その是非が議論になっている。
Macie「ヘッドショットのダメージ倍率を2倍にすれば、シージのデタラメな部分はだいたい修正されるだろう。このゲームが極めて防衛有利な点を含めてね」
「反動が少なくて連射速度の高い武器(=防衛側が持っているSMG全般)は、攻撃側と比較してヘッドショットを当てやすいし、ガンファイトで勝ちやすい。防衛側には強ポジをキープするツールや、ガンファイトをさらに強くするツール(展開型シールドやバンシーなど)があることを考慮すると、ヘッドショット1発キルはゲームデザインの欠陥だ」
議論の前提:防衛有利かつガンファイトに寄った環境
議論の背景として、シージはデータ上「防衛有利」である点と、「現在のガンファイトメタに対する批判」を押さえておきたい。
10月から11月にかけて開催された世界大会「BLAST Major Atlanta 2023(以下アトランタメジャー)」の統計をSiegeGGでチェックしてみると、確かに全体的に防衛側のラウンド取得率が高いと分かる。
競技向けに採用された9マップのうち、攻撃有利なのは「国境(防衛勝率38%)」くらいだ。「山荘(49%)」、「銀行(53%)」、「ナイトヘイヴンラボ(52%)」はバランスが取れていると言えるが、「オレゴン」に至っては防衛勝率が68%と高い。
このような数字が出る背景にはさまざまな要素が絡んでいる。そもそも防衛チームは攻撃チームがやって来るのを待ち構えるゲームデザインである点や、他にもSolis(ソリス)やAzami(アザミ)、Fenrir(フェンリル)といった、昨今の新防衛オペレーターたちの強さがよく槍玉に挙がる。
競技シーンの出来事とは別に、ランクの対戦環境では「ガンファイトメタ」が議論の的になっている(「チームデスマッチメタ」や「ラン&ガンメタ」とも言われる)。海外勢は、シージの「タクティカルシューター」としてのシステムが十分活用されておらず、撃ち合い(ガンファイト)のみで勝負を決めようとするという最近のプレイ傾向に不満を抱いているようだ。
たとえば「これがチャンピオン帯なんだぜ?」と、非常に大味な試合内容をとらえたクリップをXなどで見たことがある方もいるだろう(参考)。このような光景は以前からもシージで見られるものの、海外勢に言わせれば、現在はさらに“悪化”しているとのこと。
これらを解消しようとしたときに、「ヘッドショットで確定キル」というシステムの存在が争点となった。「とにかく1発でも頭に当てればいいルール」なので、遠距離が不利なはずのSMGでスポーンピークができ、防衛有利につながっている。また、初心者でも運が良ければ上級者に撃ち合いで勝ててしまうので、タクティカルにやるより、スピーディーに突っ込んでガンファイトを挑めばいいという理屈になる。
果たしてヘッドショットのシステムを変えることで、攻防のバランスが取られ、よりタクティカルな対戦環境になるのだろうか。プレイヤーたちの意見を見ていこう。
ヘッドショット弱体化:賛成派の意見
「ずっと言ってることだ」
- 「僕らはここ6~7年くらい、ずっとこの変更を説いて回ってるよね。みんなが目を覚ましてくれることを願うよ」(元世界チャンピオンでキャスターのPengu氏)
- 「同意。もう何年もncjack(シージのプログラマー)に言ってることだし、変更をテストサーバーにかけてくれるかもしれない(中略)。ダメージの高い武器はヘッドショット1発、ダメージの低い武器はヘッドショット2発にするんだ」(コンテンツクリエーターのNoob)
- 「本当にその通り。長い間防衛有利なんだから、Ubisoftはこれをノートに書き留めておく必要がある」
- 「壁抜きでワンショットキルされるのは本当に嫌だ。こっちには何の落ち度もないのに、ただ適当に撃った弾が壁を貫通してキルされるのはまじで腹が立つ。滅多に起きないが、ひどい気分になる」
- 「今のヘッドショットダメージ50倍っていうのは、たとえダメージが最も低い武器でも、壁を貫通しても、距離減衰が最大までかかっても、頭に当てれば1発キルになるんだよね」
「防衛側のピークを不利にできる」
- 「(ヘッドショット確定キルを)削除する理由が分からないんだけど、削除したら防衛有利が減るの?」
- 「射程がその理由だよ。防衛側のほとんどの武器は遠距離のダメージが低い。遠距離での撃ち合いでは攻撃側が有利になるから、スポーンピークは防衛側にとって全くの自殺行為になるんだ」
- 「攻撃でも防衛でも、どんな銃やサイトを使っても、頭にワンクリックすれば射程はまったく無関係だからな。距離減衰がかかっても、ヘッドショットなら1発キルになる」
「1ショットキルの距離を設定」
- 「それなら射程を基準にしたらどうだろう。たとえば同じ距離でも、SMG-11でピークしてもヘッドショット1発キルにはならないけど、アサルトライフルなら1発キルできるとか」
- 「個人的にはそれがいちばん理想的だ。すべての武器に、1発キルができる射程を設定するんだ。距離減衰がかかったら、ヘッドショットのダメージは2倍とか1.5倍に下がるようにする」
- 「Tachanka(タチャンカ)だけヘッドショット無効にすればいいよ。ヘルメットかぶってるし」
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コメント
コメント一覧 (36件)
ヘッショ一発無くなったら流石にシージやめるかも知らん
TTKが短いゲーム少ないんだよ…MWも体力150にしちゃったし
別に攻撃、防御を平等にする必要はないと思うけどな
攻撃、防御で1セットと考えればいい
元々のゲームコンセプトである「突入」が防御有利な状況なんだからそれは受け入れた方がいいと思いますわ
手足でもフルダメージ入るようにすれば相対的に攻撃側が有利になると思う
ヘッドショット1発を無くしても今のメタは変わらんだろうしそれこそシージのアイデンティティが消えるだけ。防衛有利を解消したいならやはり攻撃側全般のテコ入れしかないと思うよ。フラグ弱体化されてフラグでキル取れることが少なくなってるからフラグの範囲を昔の範囲に戻すとか3つに増やすとかして撃ち合いをより有利に出来る環境にするべき。
スピード遅くするために盾を前のに戻してもいいんじゃない?なんか一部だけ透けてたやつ
素直にフラグ戻せば攻撃側もうちょいマシになる
てかハードコアなタクティカルシューターっていう謳い文句だったのに四年前ほど前に中途半端に流行ってデスマガイジが増えた結果ヘッドワンキルに文句言ってるんだわ。
問答無用で即死するのは色物ルールだなと思っていたけど、頭を晒していれば取り返しのつかない事態(即死)と隣り合わせっていうのは、プランニングが重視されるゲーム性によく合っていたんだね
HSの効果を即死ではなく高倍率にする方向性だと、アーマープレートやオーバーヒールなどのヘルス操作系効果を総点検しなきゃいけないのが難点だなあ
ほかにもシージ特有の事情がある
1.攻守の非対称性
武器の性質が攻守で 低威力高レート←→高威力低レート に分かれている
罠系が豊富な防衛側と索敵系が豊富な攻撃側で戦術の組み立ても異なる
2.撃ち合いのシチュエーションが豊富
減衰の発生しない近距離(頻度高)と減衰しきっているしAIMやリココンもままならないような超遠距離(頻度低)のどちらもあり得る
地形や障害物が複雑なので、頭部だけを露出して撃ち合うことが容易で、1発当てるだけでも困難な状況も多い(カフェのスポーンキルやピクセル単位の隙間が顕著)
3.ヘルス操作系の能力が限定的
他FPSと違って、お互いにヘルスを削って回復してのダメージレースが基本になっていないので、回復などが可能なオペがラウンドごとに居たり居なかったり
ヘルス関係のシステムを大きく変更すると、一部のオペ達の処遇に困る
なんとなく考えていたより厄介な問題だったわ
ヘッショが無くなったら(仮に有効射程が設定されても)、ディフューザー設置後に遠くから監視してくるGLAZ,KALI,OSAに理不尽に撃ち抜かれる未来が見えるよ。あと、DOCとTHUNDER BIRDがほぼノーリスクでリスキルできるようになるよ。
だから、その…ゲームスピードを下げるにしても、FENRIRくんとAZAMIちゃんの利便性が高すぎるのが、ね…?
HSなくしてもラン&ガンが収まることはねえよな
キルじゃなくダウンにするとか、射程を作るみたいなのは可能性としてはありかもね
有刺鉄線3回殴りに戻すとか、持てるオペ増やすとかしてもいいんじゃね