みなさんのミリタリーライフは充実していますか? 銃火器に触れる機会がほぼ皆無の我が国日本ですが、BFやCoDなどのFPSタイトル、映画などでミリタリーファンになった方は多くいると思います。筆者もCoDなどでドンパチしたあげく銃ってかっこい~いと虜になってしまった1人です。
しかし映画やゲームでは、現実とかけはなれた脚色も多くあります。今回はそんな勘違いしそうな事例を調べてみました。なお筆者は軍事専門家ではないので、間違いや補足があればコメントでそっと教えてください。
ウソその1:サプレッサーをつけると銃声が消える
みなさんはサプレッサーをつけた銃声はどんなものを想像しますか?はい、まず音から違います。かつての名作FPS『007:ゴールデンアイ』で「ヂュンッ」とこもった音のイメージが定着してしまいましたが、実はこれは脚色。実際には「パァン」と抜けのある音。実際の発砲音を聞いてみましょう。
銃のモデルや、弾の種類、録音場所の環境によって前後しますが、一般的に銃声の音圧は130~170デシベル。120が飛行機のジェットエンジンと同じ騒音レベル*1と言われ、「うるさい」程度では済まされない騒音と言えます。
これにサプレッサーをつけると、120~140デシベルまで抑えることができます*2。数値的にはかなり下がっていますが「消音」というには程遠いです。130デシベル以上の音圧から聴覚機能に障害をきたすとされ、慣れてない人は耳栓無しでの発砲は難しいものと思われます。
「意味ないじゃん!」と思う方もいるかもしれませんが、サプレッサーは指向性のある高い音をカットし、どの方向から撃ってきたかを隠したり、銃声ではないと勘違いさせるのが本当の目的とのこと。
ウソその2:サプレッサーをつけると射程距離が落ちる
対戦ゲームにおいて、発砲音は相手の位置を割り出す重要な要素の1つです。そのためデメリットとして射程距離の減衰やダメージの減少が課されることがありますが、これはゲームデザインとしての脚色。サプレッサーを付けても、ほとんど性能は変わりません。むしろ弾速は下がるどころか上がることがあります。
Dustin Ellermann氏のYoutubeチャンネルでは検証動画がアップロードされています。いくつかの弾薬を試し、平均で秒速5.5メートル弾速が上がったとのこと。弾速が上がるということは、射程距離も伸びるということです。
弾速が上がる理由として、バレルの長さが関係しています。Rob Dahm氏によるとハンドガンにサプレッサーを装着する場合、バレルごと交換することになります。サプレッサーが装着できるバレルはネジが切ってあり若干長くなってます。その分だけライフリング(弾丸を回転させるためのバレル内にある溝)が長いため、弾速が上がるそうです。
また、サプレッサー内のバッフルの構造も、発生した発射ガスがサイクルされ弾丸を押し出すようになっているため、弾速をあげる手助けをしているとのこと。弾丸の設計にもよりますが、基本的には弾速があがると射程と威力はあがることになります。
ウソその3:銃で撃つと車は爆発する
マップ内に点在する車を爆発させ敵をキルしたり、「赤いドラム缶は爆発する」といった言葉もありますが、こちらも脚色によるものです。車やドラム缶が爆発する理由として、内部のガソリンへの引火が挙げられますが、通常弾でガソリンを引火させることはかなりの好条件が揃わないかぎり難しいようです。
2つめの動画ではガソリンが満タンのドラム缶、半分ほど入ったドラム缶、一度満タンにしてから中身を空にしたドラム缶を拳銃で撃ち抜いています。結果は気化したガソリンが充満した3つめのドラム缶のみ小規模な爆発がおきています。
車体に当たったときの火花で引火するのでは?と思う方もいるかもしれませんが、弾丸は銅でコーティングされ、弾頭は鉛なので発火させるのは難しいとのこと。FPSゲームは弾道が光って見えるので、発火性物質を内蔵した曳光弾の可能性がありますが、それでも引火に収まるでしょう。
ウソその4:銃弾をくらうと吹っ飛ぶ
これは物理学的にありえないことがわかります。作用反作用の法則で、弾が人が何mも吹っ飛ばす力を持っているならば、反動も同程度になるはずなのです。書籍「銃のトリビア85」によると、.44マグナム弾が人体に当たった時の衝撃は「20分の1の速度で歩いてきた人がぶつかった程度の衝撃」とのことです。
ウソその5:1人でスナイパー
物語上だと一匹狼的な性格を与えられ、つねに一人で隠密行動をとっているような描かれ方がされますがこれもウソ。現代戦において、スナイパーは必ずといっていいほどスポッターという観測手と行動を共にします。実際に長距離射撃を行うと、ターゲットの距離、気候の影響が強く現れ、緻密な計算を必要とします。
さらには司令部との連絡など、「狙ってトリガーを引く」ということ以外に多数のやることができてしまうため、観測手に仕事を任せるのです。
ウソその6:赤い線のように見えるレーザーサイト
こちらは考えてみればわかりますが、線のように見えてしまうと簡単に射手が見つかってしまいます。通常は不可視の赤外線のレーザーサイトを使い、暗視ゴーグルでレーザーを視認します。
以上、筆者が独自に調べたミリタリーフィクションです。知らないこともあったのではないのでしょうか。ただ、今回の内容はゲームや映画上のフィクションを正したいわけではなく、リアルではこういうこともあるんだよ程度のトリビアです。
ゲームにはゲームの、映画には映画の演出と楽しみ方がありますもんね。
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参考資料
*[1]http://www.skklab.com/standard_value
*[2]http://www.silencertalk.com/results.htm
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コメント
コメント一覧 (39件)
銃撃を受けても時間がたてば回復するのも嘘
実際に食らうと死ぬほど痛いし全然回復しないゾ・・・
デスしても数秒待てばリスポーン出来るのも嘘
リスポーン出来るまで4年ほど待ってるけどまだ出来ないゾ…
成仏してどうぞ
気のせいかもしれんが、4年前というと確かCoD Ghostsが出たよね・・・Ghostだけに・・
まさかな・・・
DOGEはGhostに登場してた犬ころだった・・・?
注射器刺すだけで人が生き返るのも嘘
死んだおじいちゃんに注射器刺しまくってるけど全く生き返らないゾ...
注射器は古い。除細動器を使うんダ...
あっそれかぁ!
と思って除細動器を使ったが全く生き返らないかったゾ...
こんなの嘘だ!
俺は信じないよ。
サプレッサー使用時の射程距離減衰はサプレッサーによるものではなくではなく亜音速弾を使用しているからという話を聞いたことがある
読みやすくて面白い記事でしたd( '-' )
個人的にFPSゲーマーが最も勘違いしやすい事は、「銃によって威力が変わる」
この記事中にもあるようにバレルの長さによって弾速が若干変わるのであながち間違いでもないかもしれません。まあSRで一撃なのに同じ弾薬を使うLMGが5発必要だったり極端なものが多いですがw
ショットガンの極端な射程の短さ
サプレッサーの項に
前は日本ではサイレンサー/消音器と表記されていたが、実際には記事の通り到底消音とは言えないためサプレッサー/減音器と表記されるようになった
とか付け足してもいいかもしれませんね
silencerは法律用語。今も使われている
面白い
レーザーサイトは赤外線なんすねぇ(赤いレーザーが出ると思っていた)
可視光レーザーサイトも普通にあるので正直あの項は微妙なところ
ただ、大抵の場合隠密性を重要視するゆえに暗視装置を装備した部隊が使うことが多いので結果的に赤外線レーザーの採用が多い、というだけ
というのも、白昼の戦場では赤色レーザーなんて正直なんの補正にもならないくらい見えにくくなるから
その2が二つあるので、TOP6に直した方がいいのでは?
こーゆーの好きです。
走り回ってスナイパーぶっぱなすゲームあるし